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・研究開発の取り組み状況 ・栽培実験指針 |
B-1 我が国における遺伝子組換え農作物の実用化について、どのように考えているのですか。?
B-2 これまでに開発された遺伝子組換え農作物と開発中の遺伝子組換え植物にはどのようなものがあるのですか。?
B-3 害虫抵抗性の遺伝子組換え農作物とはどのようなものですか。?
B-4 除草剤耐性の遺伝子組換え農作物とはどのようなものですか。?
B-5 遺伝子組換え食品は、いつごろから販売されているのですか。?
B-6 どのような食品に加工されて販売されているのですか。?
B-7 ストレス耐性の遺伝子組換え農作物とはどのようなものですか。?
B-8 環境浄化・環境修復・環境回復を目的とした、環境問題に貢献する遺伝子組換え植物とはどのようなものですか。?
B-9 健康に役に立つ遺伝子組換え農作物とはどのようなものですか。?
D-1 遺伝子組換え作物の環境に対する影響はどのように確認されているのですか。?遺伝子組換え技術を使うと予想もしないような事態が発生しませんか。?
D-2 遺伝子組換え生物の取り扱いに関する国際的な取り決めとして、「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書」というものがあると聞きますが、それはどのようなものですか。?
D-3 「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)」とは、どのような法律ですか。?
D-4 カルタヘナ法でいう『生物多様性影響』とは具体的にどのようなことですか。?
D-5 生物多様性影響評価の具体的な評価手順を教えてください。
D-6 生物多様性影響評価に必要なデータを得るための試験は開発企業自身ではなく、第三者機関が実施すべきではないですか。?
D-7 カルタヘナ法では第一種使用規程の承認に当たって農林水産大臣、環境大臣が学識経験者の意見を聴くこととなっていますが、どのように行っているのですか。?
D-8 カルタヘナ法で第一種使用規程を承認された遺伝子組換え生物についての情報はどこで入手できますか。?
D-9 遺伝子組換え農作物を長期間使用した場合に、評価時点では予測できなかった生物多様性影響が生じることはないのですか。?
D-10 評価時点で予測できなかった生物多様性影響が生じた場合、どのように対処するのですか。?
D-12 遺伝子組換えにより、元の農作物よりも繁殖力が強まったり、雑草化しやすくなったりすることはありませんか。?
D-13 遺伝子組換え農作物が有害物質を産生することはありませんか。?
D-14 遺伝子組換え農作物が野生植物と無差別に交雑し、野生植物へ影響が出ることはありませんか。?
D-15 害虫抵抗性の遺伝子組換え農作物が、目的以外の昆虫の生態を脅かすことはありませんか。?
D-16 害虫抵抗性の遺伝子組換え農作物を栽培し続けると、もっと抵抗力の強い虫が登場することはないですか。?
D-17 除草剤耐性の遺伝子組換え農作物が雑草と交雑して、除草剤をまいても枯れない雑草が繁殖してしまうことはないですか。?
D-18 道路沿いで遺伝子組換えナタネの生育が確認された、という報道があったと聞きましたが、その事実関係を教えてください。
D-19 輸入港周辺で生育する遺伝子組換えセイヨウナタネが我が国の生物多様性に悪影響を与えることはありませんか。?
D-20 こぼれ落ちた除草剤耐性遺伝子組換えセイヨウナタネは、自生して多年草化することはありませんか。?
D-21 輸入港周辺で生育する遺伝子組換えセイヨウナタネがハクサイ、カブ、コマツナなどのアブラナ科野菜と交雑して、遺伝子組換え野菜ができることはないですか。?
D-22 『遺伝子組換えトウモロコシの花粉を食べたチョウが死んだ』という報道がありましたが、その事実関係を教えてください。
E-1 遺伝子組換え食品の人への安全性は、どのように確認しているのですか。?
E-2 遺伝子組換え農作物(食品)の安全性を評価する概念『実質的同等性』とは何ですか。?
E-3 遺伝子や遺伝子組換え食品を食べ続けても大丈夫ですか。?
E-4 農作物中に新たな有害物質が作られたり、既存の有害物質の量が増えることはありませんか。?
E-5 遺伝子組換え農作物について、長期の動物実験はなぜ実施されていないのですか。?
E-6 遺伝子組換え食品がアレルギーを引き起こす心配はありませんか。?
E-7 ブラジルナッツの遺伝子を導入した遺伝子組換えダイズがアレルギーを引き起こすという話を聞いたのですが、詳しく教えてください。
E-8 害虫が死んでしまうような遺伝子組換え農作物は、人に対して影響はないのでしょうか。?
E-9 『遺伝子組換えジャガイモがラットの免疫力を低下させた』という報道がありましたが、その事実関係を教えてください。
E-10 遺伝子組換え微生物を利用して生産されたトリプトファンを摂取した人の中に健康被害が発生したことがあったと聞きますが、その事実関係を教えてください。
E-11 安全性未審査の遺伝子組換えトウモロコシ『スターリンク』の混入事件について、その事実関係を教えてください。
E-12 医薬品産生組換えトウモロコシ混入事件について教えてください。
E-13 『遺伝子組換えダイズを投与したラットの子供の死亡率が高く成長阻害が見られた』という研究結果が報道されていましたが、その事実関係について教えてください。
E-14 安全性未審査の遺伝子組換えジャガイモが混入したスナック菓子が発見されたことがあったと聞きましたがその事実関係を教えて下さい。
E-15 除草剤グリホサートが有機リン系農薬であるという話を聞きました。有機リン系農薬は人体に悪いと聞きますが、大丈夫でしょうか。?
E-16 フランスの研究グループが、害虫抵抗性トウモロコシの承認時のデータを再解析した結果、肝臓などに悪影響が認められたと発表したと聞きましたが、事実関係を教えてください。
1 DNAとは、デオキシリボ核酸(Deoxyribo Nucleic Acid)の略であり、細胞内の核に多く含まれる酸性の科学物質です。
2 生物の最も基本的な性質は『自分で自分と同じものを作ることができる』と言えます。例えば、細胞は分裂して1つの細胞から2つの細胞へ、さらに4つ、8つの細胞へと増殖できます。このとき、子供、その子供、そのまた子供へと生物がその生物たるのに必要な情報を正確にコピーして伝達する必要があります。
3 この情報伝達物質がDNAであることは、米国の研究者アベリーが1944年に明らかにしましたが、その後(1953年)イギリスでワトソンとクリックの二人組がこのDNAの立体構造(立体的な形)を明らかにしました。DNAは糖とリン酸がらせん状になった2本の鎖のような形の内側に、A(アデニン)、T(チミン)、C(シトシン)、G(グアニン)という4種類の塩基がはしご段に並んでいます。AとT、CとGは必ず対をなして弱い結合で向かい合っています。1本の鎖の塩基の並び方が決まれば、その相手は自動的に決まってしまうことになり、驚くべきことに『DNAはコピーすることができる分子である』ことが分かりました。ワトソンとクリックはこの発見により、1962年、ノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
1 姿や形、体質といった生物の持ついろいろな形質は、親から子へと代々引き継がれていきますが、親から子へと引き継がれる形質を規定している因子のことを遺伝子と呼んでいます。細菌や動物、植物に至るまで、生物は全て遺伝子を持っています。
2 一方、ゲノムとはその生物が持っている染色体1セットのことを言います。ゲノムのDNAの長さはヒトでは1mほどになりますが、ゲノムDNAのすべてが遺伝子ではなく、そのところどころに、遺伝子に相当する部分があります。つまり、遺伝子の本体はDNAという化学物質ですが、『DNA全てが遺伝子』というものではありません。
3 家畜や農作物などの高等生物は通常、約3万の遺伝子を持っています。ある野球場に観客、選手、スタッフ等、計約3万人が入っているとすると、野球場全体がゲノムであり、その中の1人1人が遺伝子に例えることができます。
1 遺伝子組換え技術は、ある生物から目的とする有用な遺伝子を取り出して別の生物に導入することにより、改良しようとする生物に新しい性質を付与する技術です。現在用いられている遺伝子組換え技術は、観客等3万人が入った野球場に例えると、1人か2人が外から加わるイメージになります。
2 農作物の改良(育種)においては、従来の改良の方法に比べ、選抜や交配では実現困難な形質を付与した農作物を開発して新たな素材とすることにより、育種の可能性を大きく広げることができる技術です。
1 遺伝子組換え技術は、食料生産のほか、医薬品や工業原料の製造分野など様々な場面で広く活用されています。
2 医薬品としては、これまで人工合成が困難であったヒトの成長ホルモン、インターフェロン、インスリンなどが遺伝子組換え微生物を利用して大量生産できるようになり、医療の現場で大いに役立っています。糖尿病の治療に必要なインスリンは、かつてはブタからインスリンを取り出し、そのまま使用するか、化学反応を用いてヒト型と異なる部分のアミノ酸をヒト型に変換してヒトインスリンを作っていました。しかし現在は、遺伝子組換え技術によってヒトインスリンの遺伝子を大腸菌に組み込んで、大量に生産できるようになりました。これによって価格が安くて副作用のない高品質なインスリンの大量供給が可能となり、インスリン注射が必要な多くの糖尿病患者を救うことになりました。また、毎日の洗濯に使っている洗剤や、ジーンズ・デニムの風合いを出すための『バイオウオッシュ加工』などに用いられる酵素の生産には、この技術が使われています。
3 さらに、研究開発の現場では、実験や検査に使う薬品などにも遺伝子組換え技術を用いて製造されるものが多数あるほか、遺伝子や薬の働きを調べるための実験動物の作出などにも遺伝子組換え技術が用いられています。
4 一方、農林水産・食品分野でも、除草剤の影響を受けないダイズ、ナタネ、害虫に強いトウモロコシやワタなどが実用化され、世界各地で栽培されています。これらの栽培国・栽培面積は、年々大幅に拡大しており2007年(平成19年)では1億1,430万ヘクタールに達しました(国際アグリバイオ事業団(ISAAA,2008)。例えば、米国やアルゼンチンで栽培されるダイズでは、9割以上が遺伝子組換え品種となっています。
5 我が国では、現在、海外で生産された遺伝子組換え農作物は、畜産飼料や油糧などを中心として大量に輸入され、私たちの食卓を支えるためには不可欠なものとなっています。このほか、食品以外では、これまでにない花色のカーネーションなども商品化されて、店頭に並んでいます。
1 人類はこれまで、既存の育種技術を用いて、天然の植物を人間の都合が良い作物へ作り変えてきました。ただし、交配などの育種技術で効果を上げるには、多様な遺伝子が含まれる多様な『遺伝資源』の存在が必須です。この遺伝資源は生産性の高い近代農業の普及に従い、急速に減少しているとともに、各国の遺伝資源に対する権利意識の高まりから、自由に使えなくなる傾向にあります。
2 遺伝子組換え技術は、生物の持つ機能を上手に利用して、求められる遺伝資源を計画的に作り出すことで、育種の可能性を大きく広げることができる技術です。
3 また、地球温暖化などの環境問題が重要な課題となる中、石油に代わるエネルギーや化学工業原料として植物の利用が注目されています。植物をエネルギーや生分解性プラスチックの原料などとして用いる場合、植物をアルコールや生分解性プラスチックへ変換しやすくしたり、植物の炭素固定能力を画期的に引き上げ、低コストで大量に生産することなどが必要となります。このような遺伝資源は自然界に存在しない以上、遺伝子組換え技術は、この鍵となる技術であり、これまでとは全く違った農作物の利用形態を生み出す上でも有効です。
4 従来の交配による育種では、このような作物を作り出すことは極めて困難ですが、遺伝子組換え技術を用いることにより、これら作物の開発が可能となると考えられることから、遺伝子組換え技術は、世界の食料問題、環境問題、エネルギー問題を解決する手段の一つとして強く期待されています。
1 人類は農耕を開始して以来、農作物にさまざまな改良を行ってきました。例えば、下図のようにキャベツの野生種から品種改良によって、いろいろな種類の野菜が作られました。
2 現在、私たちが目にする美味しくて収量の高い農作物や、多種多様な色や形の園芸植物の多くは、そのような品種改良の産物です。このような従来の育種技術による改良でも、遺伝子組換え技術を利用した改良でも、『遺伝的な変化が起こった結果、新たな品種が得られる』という点では同じです。
3 しかし、従来の育種技術による改良では、どのような変化が起こるかは偶然に任せられているのに対し、遺伝子組換え技術による品種改良では、目的とする遺伝子だけを組み込むことができます。
4 従来の育種では実際にどのような遺伝子が改良に関与しているのか良くわかっていませんでしたが、遺伝子組換えによる品種改良では、組込む遺伝子の働きがわかっているので、より正確に、かつ、計画的に品種改良を進めることができます。
5 それに加えて、従来の育種との大きな違いは、異なる種の遺伝資源を利用できることです。このため、種にとらわれることなく、有用な遺伝子を幅広い生物の中から選んで利用することができることになり、品種改良の可能性が大きく広がります。
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1 遺伝子組換え農作物を作るためのステップは、次のような手順を踏みます。
(a)ある生物から目的とする有用な形質に関係する遺伝子を見つけ、その遺伝子だけを取り出します。
(b)改良しようとする農作物の細胞の核に、取り出した遺伝子を導入します。
(c)細胞の中から目的の遺伝子が確実に導入されているものだけを培養・選抜し、増殖させ、植物体を再生させます。
(d)得られた植物体の中から、有用な形質が発現している個体を選抜します。
(e)交配などにより、この形質が次世代に安定的に伝わるかを確認します。
例えば『病気に強い』遺伝子組換え植物を作る場合、まず植物や微生物などの中から、『病気に強い』性質を持っている生物を探します。そして、その生物が持つ多くの遺伝子の中から、『病気に強い』性質を持たせる遺伝子を見つけます。
2 見つかった『病気に強い』遺伝子だけを取り出し、改良を行う対象の植物の細胞に導入します。実際には、対象植物の葉や種子などの組織やカルスを用います。
3 導入の方法としては主に、アグロバクテリウム法とパーティクルガン法が使われています。
4 アグロバクテリウム法は、アグロバクテリウムという微生物が、植物の細胞に自分の持つDNAを送り込むことができる性質を利用した導入方法です。
5 パーティクルガン法は、目的の遺伝子を結合させたタングステンや金の微粒子を、高圧ガスなどの力で植物細胞に打ち込むことによって、遺伝子を導入する方法です。導入した遺伝子が、植物のDNAに実際に組み込まれた細胞だけを選抜・増殖させ、植物ホルモンを与えて、新たに芽や根を分化させて完全な植物体を再生します。この後は、『病気に強い』遺伝子が目的どおりに働いている植物体だけを選抜して、従来の品種改良と同じように、かけ合わせを行ったりしながら、改良していきます。こうして、『病気に強い』という目的の性質を持った品種ができあがります。
6 なお、できあがった組換え植物を実用化する場合には、環境に対する安全性、食品や飼料としての安全性の確認のための厳密な試験が行われ、公的機関の審査をクリアできたもののみが栽培・流通できることになります。
7 『遺伝子組換え』と聞くと、DNAすべてが組換えられているようなイメージがありますが、目的とする遺伝子だけを、改良したい生物の細胞の中に導入して、目的とする形質を発現させようとするものなのです。
1 アグロバクテリウム(Agrobacterium)は土壌中にいる微生物で、植物に感染すると植物の根元にクラウンゴールと呼ばれる『こぶ』を形成します。この現象は、アグロバクテリウムが、自分の持つプラスミドDNAの一部(T-DNAと呼ばれる領域)を切り離し、その遺伝子を植物のゲノム中に組み込むことによって起こります。
2 植物は、アグロバクテリウムから組み込まれたT-DNAの遺伝情報に基づいて植物ホルモンと特殊なアミノ酸を合成します。クラウンゴールと呼ばれる『こぶ』は、この植物ホルモンの働きによって細胞分裂が促進されて生じます。一方、アミノ酸は、植物は利用できずアグロバクテリウムのみが利用できる特殊なアミノ酸で、アグロバクテリウムはこのアミノ酸を利用して、クラウンゴール内で生育することができます。
3 遺伝子組換え技術に用いるアグロバクテリウム法は、アグロバクテリウムが自分の遺伝子を植物体に組み込むことができる性質を利用して開発された方法です。まず、プラスミドの中のクラウンゴールを作る植物ホルモンやアミノ酸を合成する遺伝子(T-DNA領域)を取り除き、その部分に目的とする有用遺伝子をつなぎます。次に、有用遺伝子をつないだプラスミドをアグロバクテリウムに戻し、そのアグロバクテリウムを植物細胞に接触・感染させ、目的の遺伝子を植物細胞の中に導入します。このような過程を経て、有用遺伝子を植物細胞の染色体上に組み込み、有用遺伝子を持った植物体を作り出します。
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1 マーカー遺伝子とは、遺伝子組換えの際に、目的とする遺伝子が入ったことを確認するための目印として、一緒に組み入れられる遺伝子のことです。
薬剤(カナマイシン、ハイグロマイシンなどの抗生物質)耐性遺伝子や、除草剤耐性遺伝子などが使われます。
2 例えば、カナマイシン耐性遺伝子をマーカーとして使用した場合、アグロバクテリウム法やパーティクルガン法で遺伝子を導入した細胞を、カナマイシン入りの培地で培養します。すると、目的の遺伝子と一緒に、カナマイシン耐性遺伝子が組み込まれた細胞だけが成長できるため、組換えが起こった細胞を選抜することができます。
1 医療分野、工業分野など、様々な分野で遺伝子組換え技術の貢献が期待されていますが、食料分野について述べると、20世紀の100年間で世界の人口は4倍に増え、2007年には66億人に達しており、国連によると2050年には95億人に達すると推定され、今後、人口増加に見合う食料をいかに確保するかが重要な問題となってきます。
2 一方、都市化に加えて、地球温暖化や森林の減少などの影響により、砂漠化や海面の上昇、干ばつなど地球環境の悪化や天候不順が重なり、耕地面積は年々減少してきています。
3 現在でも、世界で8億人以上の人々が栄養不足や飢餓状態にあるといわれており、食料問題は、今後ますます深刻化すると予測されます。こうした食料問題を解決するキーテクノロジーの一つとして、遺伝子組換え技術が期待されています。
4 また、環境分野ではバイオプロセスやバイオマスの利用によって、環境への負荷を低減させる技術など、持続可能な技術開発が期待されています。また、バイオテクノロジーを活用して環境の保全や修復を行う研究も進められています。
5 エネルギー分野では、化石資源の枯渇の恐れや原油価格の上昇などの要因に伴い、バイオマスを原材料とした効率的なバイオ燃料の開発などへの利用が期待されています。
6 これら諸問題に対応するため、農林水産省では、飼料自給率の向上やバイオエネルギーの確保などを目的として、病害に強く多収のイネ、食料の安定供給のための寒冷・乾燥・塩害に強い作物、健康の増進を図るための機能性成分を高めたイネ、土壌中のカドミウムや残留性有機汚染物質を吸収する環境修復植物などに関する開発研究を取り組んでいるところです。
1 生物を遺伝子のレベルから理解するために、様々な生物のゲノムの解読が行われており、酵母やショウジョウバエ、ヒト、マウス、シロイヌナズナ、イネなどのゲノムの塩基配列が解読されています。
2 ゲノムを研究することによって、遺伝子の機能を解明したり、個々の遺伝子がどの時期に、どの組織で、どのように働いているのか、発現の様子を調べることができます。
3 また、様々な生物間の違いや、同一種の中の個人差をゲノムの比較によって解明することもできます。
4 例えば、ヒトにおける遺伝子の個人差の研究では、1つの塩基が置換した1塩基多型(SNPs)を解析して、病気に対する感受性や、薬物への応答を調べます。それによって、その人にあった副作用の少ない薬を投薬することもできます。
5 植物であれば、植物が本来持っている病気や害虫に対する抵抗性の仕組みを解明し、その機能を高めたりすることができます。
1 平成19年度に農林水産省が一般の方々を対象とした『遺伝子組換え農作物等に関する意識調査』結果では、
(a)約4割の方が『食料自給率向上、食料供給力強化』や『食料供給コストの縮減』に遺伝子組換え技術が有効活用できると考えている一方、
(b)約7割の方が遺伝子組換え農作物に対して『不安である』、『どちらかといえば不安である』
と回答するなど、遺伝子組換え技術や遺伝子組換え農作物の持つ可能性については一定の期待をしている一方で、不安感を抱いているというという結果が出ています。
2 これらの背景として、
(a)国内で流通する遺伝子組換え農作物については、関係府省が国際的なルールや法律に基づき食品としての安全性や環境に対する安全性を確認していることを『知っていた』という回答が4割以下にとどまっていること、
(b)遺伝子組換えに関する行政機関からの情報提供に『満足している』、『どちらかといえば満足している』という回答がわずか5%であること、
など、正確な情報を得る機会が不十分であったことが一因であると考えています。このため、農林水産省では、遺伝子組換え技術について、正しい情報提供等を通じたコミュニケーション活動を進めています。
1 遺伝子組換え農作物は、これまでの交配等による品種の改良、栽培技術の改良等の取組みでは実現できない、新たな機能の実現、低コストでの食料生産を可能とすることにより、豊かな国民生活の実現に大きく寄与する可能性を有しています。
2 また、今後一層深刻化することが予想される世界の食料問題・環境問題について、その解決に貢献しうる技術であると考えています。
3 農林水産省としては、遺伝子組換え技術でなければ実現・達成できない病虫害抵抗性、不良環境耐性、機能性成分、低コスト・高付加価値飼料作物、環境修復植物、バイオマス用資源植物などについて、研究開発の方針を取りまとめ、計画的・効率的に研究開発を進めるとともに、あわせて遺伝子組換え技術に関する理解増進に向けたコミュニケーションを推進していくこととしています。
1 現在、実用化されている代表的な遺伝子組換え農作物は、『除草剤の影響を受けない性質』や『害虫に強い性質』を導入したものです。ナタネ、ワタ、トウモロコシ、ダイズ、アルファルファ、イネ、パパイヤ、トマトなど、いろいろな農作物が実用化されています。また、コムギ、オオムギ、アズキなどでも開発が進められています。
2 通常の農作物栽培では、雑草や作物の種類に合わせ、複数の除草剤を組合わせて数回ずつ散布しています。全ての植物に対して効果を発揮する除草剤もありますが、肝心の農作物まで枯れてしまうため、農作物用には使えませんでした。除草剤の影響を受けない遺伝子組換え農作物が実用化したことにより、除草剤の散布量を減らすことが可能となりました。米国では、従来のダイズ栽培に比して、除草剤の使用量が約4割低減したという調査結果も出ています。
3 一方、害虫に強い遺伝子組換え農作物は、土壌微生物が元々持っている、特定の害虫だけに毒となるタンパク質(Btタンパク質)を作る遺伝子を導入したものです。このタンパク質は生物農薬としても既に利用されており、特定の害虫以外の哺乳類や鳥類などには無害です。これにより、殺虫剤の散布量を大幅に減らすことができるようになりました。
4 農業は、害虫、病気、雑草との戦いだともいわれていますが、これらの遺伝子組換え農作物が実用化されたことにより、生産者は農薬散布の労力やコストが削減でき、農薬の使用量も減らせるようになっています。そのため、米国やアルゼンチン、カナダなどの農家が好んで栽培するようになり、栽培面積は年々急増しています。
5 また、現在開発中の遺伝子組換え農作物としては、世界の食料問題の解決に向け、収量性の高い作物や、乾燥地などの不良環境でも生育する植物などの開発が進められています。
6 さらに、私たちの健康に役立つ成分を高めた農作物の開発も進んでいます。我が国では、健康の増進を図るための機能性成分を高めたイネなどの研究が実用化に向けて進められています。
7 そのほか、色変わりカーネーションとして、青色色素を作らせる性質を持たせた遺伝子組換えカーネーションは、すでに日本での販売が開始されており、同様のバラも近く商品化の予定です。
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1 農業は虫との戦いだとよくいわれます。せっかく丹精をこめて作った農作物も、一夜にして害虫に食い尽くされてしまうことがあります。
2 遺伝子組換え技術によって可能となった『害虫抵抗性』という性質は、特定の害虫に対して被害を受けないようにしたものです。害虫抵抗性農作物は、もともと土壌に生息しているバチルスチューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)という細菌(Bt菌)が持つ、特定の害虫に対して毒となるタンパク質を作る遺伝子が導入されたものです。チョウやガ、またはコウチュウ類の幼虫などに対して殺虫作用がありますが、その他の昆虫はもちろん哺乳類や鳥などの脊椎動物には無害です。
3 Bt菌は生物農薬としても既に利用されてきた歴史もあり、有機農業でも使用が認められていますが、遺伝子組換え植物体内のBtタンパク質の濃度は、生物農薬として散布される濃度よりも格段に低いことが知られています。
4 こうした性質が加えられた害虫抵抗性農作物は、害虫による被害を軽減し、散布する殺虫剤の量も大幅に減らすことができます。
1 現在、雑草を防除するために、さまざまな除草剤が実用化されています。農家は雑草や作物の種類に合わせて、いくつかの除草剤を組み合わせ、数回ずつ散布を行います。
2 除草剤の中には、全ての植物に対して効果を発揮するものがありますが、肝心の農作物まで枯れてしまうので作物用には使えませんでした。そこで開発されたのが除草剤耐性農作物です。ある土壌細菌の中から、特定の除草剤、例えばグリホサートやグルホシネートなどの除草剤の作用を阻害する酵素をつくる遺伝子を見つけて取り出し、それを農作物に組み込みます。すると、この農作物の栽培中にグリホサートなどの除草剤をまいても、雑草だけが枯れて、作物は全く影響を受けずに育ちます。農家にとっては、1種類の除草剤だけで確実に雑草を防除でき、除草のための手間とコストも削減できるという利点があります。
3 また、除草剤耐性作物は、大陸では効率的な不耕起栽培を可能にすることで、表土流出の防止や栽培に使う化石燃料の低減の効果もあります。
1 1994年(平成6年)に、世界で初めての遺伝子組換え食品が、米国で販売されました。これはフレーバー・セーバー・トマトと呼ばれるもので、完熟した状態でも日もちが良いのが特徴でした。その後、害虫に強い性質や除草剤の影響を受けない性質を持ったトウモロコシやダイズなどの農作物の開発が進められ、これらを中心に本格的な商業栽培が行われるようになったのは1996年(平成8年)からです。
2 日本では、この年に厚生省(現在の厚生労働省)が遺伝子組換え食品として安全性を確認したものについて輸入が可能になり、その年後半から市場に出回るようになりました。これらの遺伝子組換え農作物は、さまざまな加工食品の原材料となって販売されてきました。
3 平成20年3月現在、わが国において食品としての安全性が確認され、販売が認められている遺伝子組換え農作物は、ダイズ、トウモロコシ、バレイショ、ナタネ、ワタ、アルファルファ、テンサイの合計7作物となっています。
1 現在、日本で食品としての安全性が確認され、販売が認められている遺伝子組換え農作物は7作物(ダイズ、トウモロコシ、バレイショ、ナタネ、ワタ、アルファルファ、テンサイ)です。
2 ダイズであれば、ダイズ油、醤油、豆腐、油揚げ、おから、納豆、豆乳、きな粉などの原材料となります。またこれらの加工食品がさらに利用されて、菓子や惣菜などの原材料となることもあります。なお、油をとった残りのダイズ粕などの多くは家畜の飼料として利用されています。
3 トウモロコシは、コーン油、コーンスナック菓子、トウモロコシ缶詰、コーンフレークス、コーンスターチなどになります。中でもコーンスターチはこれを素材として、ビールなどのアルコール飲料や糖類(果糖ブドウ糖液糖など)に加工されて清涼飲料水などに用いられており、二次加工、三次加工と広範囲に及ぶ加工食品の材料になっています。また家畜用の飼料や工業用澱粉など、直接の食品以外にも利用されます。
4 バレイショは植物防疫上の理由から、日本へはそのままの形で生で輸入されることは原則ありませんが、冷凍フライドポテトやマッシュポテト、バレイショ澱粉となって輸入され、ポテトスナック菓子の原材料などにも利用されます。ナタネや綿実は植物油に用いられます。なお、テンサイも、植物防疫上の理由から生では輸入できません。
1 世界の穀物の生産動向をみると、収穫面積は、農地開発が行われる一方で、過度の放牧や塩類集積などにより世界全体で1年間に日本の耕地面積を上回る500万ヘクタールの農地が砂漠化しています。
2 ストレス耐性植物とは、乾燥に強い植物や塩分濃度の高い土地などでも育つ植物を指します。これらが開発されれば、これまでは農業ができなかったような土地でも農作物を栽培することが可能となり、収穫面積の拡大を通じ、飢餓問題の解決にも効果があると考えられています。
3 日本では、過剰発現させると乾燥・塩・低温ストレスに対する耐性の向上するシロイヌナズナの遺伝子、DREB(Dehydration-Responsive Element Binding factor)が発見され、国際機関とも協力しながらストレス耐性作物の開発が進められています。また、耐塩性の遺伝子組換えユーカリなどが、研究レベルでの開発に成功しています。
1 遺伝子組換え植物を用いて、環境問題を解決するための研究が進められています。例えば、植物を利用して、汚染された土壌中の重金属を取り除く研究があります。カドミウムは、人の健康に害を与える恐れのある重金属で、農用地の土壌汚染の原因のひとつです。
2 アブラナ科の植物は、もともと根からカドミウムを吸収する能力が高いことが知られています。そこで、遺伝子組換え技術を利用することにより、さらにカドミウムの吸収力を高められるのではないかと期待されています。そうすることで、汚染された土地でカラシナなどを栽培するだけで土壌中のカドミウムを取り除くことができます。
3 また、広範囲に広がった汚染を比較的安価に処理することも可能です。このように、汚染物質を環境中から除去する研究のほかに、汚染物質そのものを分解して環境を浄化する植物の開発も行われています。また、今まで農業ができなかったような乾燥した地域やアルカリ土壌、塩分濃度が高い土地でも生育できる植物が開発されれば、環境の緑化にもつながります。
1 遺伝子組換え技術によって、私たちの健康によりよい農作物の開発が進められています。例えば、体に良い油として注目されているオリーブオイルより、さらに多くのオレイン酸を含むダイズが開発されています。オレイン酸には、血中の善玉コレステロールはそのままにして悪玉コレステロールだけを下げる効果があることが報告されています。
2 また、β-カロチンを含むコメの開発が進められています。このコメは黄金色をしていることから『ゴールデンライス』と呼ばれています。β-カロチンは、体内でビタミンAとなるため、開発途上国で深刻な問題となっているビタミンA不足の解消に有効であると考えられています。特に、東南アジアやアフリカなどの開発途上国では、年間約50万人の子供がビタミンA欠乏に起因した眼球乾燥症で失明にいたっているという報告(昭和62年)があります。主食であるコメからβ-カロチンを摂取できることにより、ゴールデンライスはビタミンA不足を解消する手段として期待されています。
3 そのほか、中性脂肪や血圧を調整する作用のあるタンパク質を多く含むイネの開発やダイズやコメに、もともと含まれているアレルギーの原因になる成分を少なくして、これらにアレルギーのある人でも安心して食べることができる農作物の開発が進められています。さらに、農作物の栄養価をより高めるだけでなく特定の成分を低下させる研究もあります。
1 医療分野では、遺伝子組換え技術を用いて、植物に医薬成分や原料を生産させる研究が進んでいます。
2 さらに、ワクチン成分を食用の植物に作らせて、食品として食べて効力を発揮する『食べるワクチン』の研究も行われています。『食べるワクチン』は、ワクチン成分を精製する手間と費用が削減でき、保存のための冷蔵設備も必要ありません。ヒトや家畜の感染症を、食べるだけで予防することができるので、開発が期待されています。また、アレルギー疾患の治療に有効な食べるワクチンの研究も進められています。
1 栽培実験指針は、
(a) 遺伝子組換え農作物の開発などの研究については、情報を公開し、国民の理解を得るよう努めながら推進することが重要であること
(b) 「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(カルタヘナ法)により生物多様性を損なうおそれがないものとして、国内の隔離ほ場や一般のほ場で栽培することが承認された遺伝子組換え農作物であっても、一般農家の栽培する遺伝子組換えでない農作物との交雑が生じた場合に、生産・流通上の混乱が生じかねないこと
を考慮し、独立行政法人の研究所が、遺伝子組換え農作物を用いた野外での栽培実験を行う場合に、執るべき交雑・混入の防止措置及び国民への情報提供について定めたものです。
これにより、国民への情報提供を行いながら、遺伝子組換え農作物が研究所の周辺の一般の農家が栽培する農作物と交雑すること、遺伝子組換え農作物が研究所内で栽培している他の実験材料などに混入することを防止し、独立行政法人が行う栽培実験に対する安心を確保することが目的です。
2 なお、栽培実験指針は、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(カルタヘナ法)に基づき承認された第1種使用規程に記載されている遺伝子組換え農作物を用いて行う栽培実験を対象に、その実施に当たっての交雑・混入防止や情報提供について定めたものであり、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(カルタヘナ法)とは別の観点で定めたものです。なお、詳細はこちらをご覧下さい。
1 遺伝子組換え技術によって作られた農作物を一般の田畑で栽培したり、食品や家畜の飼料として用いていくためには、栽培や流通に先だって、生物多様性(環境)に影響を及ぼすおそれがないこと、食品や飼料として利用する場合の安全性を確認することが必要です。
2 このため、遺伝子組換え農作物の利用に当たっては、安全性確保のための法律が策定され、国による審査が行われています。
(a)遺伝子組換え農作物を栽培したり、外国から食品・飼料等の原材料用として輸入する場合に、生物多様性に影響を及ぼすおそれがないことについては、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(カルタヘナ法)に従って、農林水産大臣と環境大臣が、我が国の生物多様性を損なう恐れがない場合に限って、使用の承認を行っています。
(b)遺伝子組換え農作物を食品として利用する場合の安全性については、食品衛生法に基づき厚生労働省が定めた「食品、添加物等の規格基準」及び「食品安全基本法」に従って、内閣府食品安全委員会が安全性を評価(リスク評価)し、厚生労働大臣が承認を行っています。
(c)遺伝子組換え農作物を飼料として利用する場合の安全性については、「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律」及び「食品安全基本法」に従って、農林水産大臣が飼料としての安全性確認を行っています。その確認に当たっては、内閣府食品安全委員会の意見を聴くこととなっています。
3 このように、安全性審査の仕組みが定められており、開発者等が目的とする用途に応じて、1つ1つの遺伝子組換え農作物ごとに、関係する法律に基づく申請を行うこととなっています。申請を受けた関係大臣は学識経験者等の意見を聴いた上でその内容を審査等することとなっています。こうした審査によって安全性が確認されたものだけが商品となり、流通・販売されることとなります。
4 なお、安全性等の評価の方法については、生物多様性条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書、国連食糧農業機関(FAO)/世界保健機関(WHO)合同食品企画委員会(Codex(コーデックス)委員会)、経済協力開発機構(OECD)によって示された原則などを踏まえて、組み換えられる前の農作物との比較等を行いながら、遺伝子組換えによって意図的に付与した性質、意図しないで付与された性質によって、生物多様性や人、家畜に影響を及ぼすかおそれがないかどうかを評価することとなっています。
1 日本では、米国および国内におけるスターリンクの混入の指摘を受けて、これを機に未承認の遺伝子組換え品種が飼料や食品に混入していないかどうか、厚生労働省・農林水産省よるモニタリング検査が開始されました。
2 食品については、厚生労働省で、平成13年4月から横浜や名古屋など各地にある検疫所において、食用として輸入されて来るトウモロコシの検査を実施していますが、平成14年12月20日に名古屋検疫所に輸入届出が提出された米国産コーンスターチ用トウモロコシ19,234トンに対してモニタリング検査を実施したところ、1,200トンについて、未承認のスターリンクの混入が認められました。モニタリング検査の実施以来、これが初めての混入の確認でした。なお、スターリンク陽性の結果が判明したものについては、食品衛生法に基づき、廃棄または積み戻しなどの措置が実施されます。
3 また、飼料については、平成12年4月輸入分から、農林水産省肥飼料検査所(現:独立行政法人農林水産消費安全技術センター肥飼料安全検査部)において、飼料用トウモロコシ中のスターリンク混入について検査を開始するとともに、平成12年12月には、日本に輸出される飼料用トウモロコシへのスターリンク混入を防止するため、米国において輸出前検査を実施することについて日米間で合意がなされました。
4 スターリンク混入以降、混入が明らかになった未承認の遺伝子組換え農作物についても、必要に応じ適宜モニタリングが実施されてきています。
1 遺伝子組換え食品の安全性を評価する上で、現在、基本となっている概念は『実質的同等性』という考え方です。これは、遺伝子組換え食品を既存の食品と比較することによって、その安全性を評価するという方法で、1993年(平成5年)にOECD(経済協力開発機構)において示されました。この概念は各国で採用されていて、日本もこの考え方を取入れて安全性審査を行っています。
2 また、遺伝子組換え食品について国際的な基準を作るために、国際政府間組織(CODEX)では、遺伝子組換え植物由来食品の安全性を評価するためのガイドラインや、リスク分析の原則などの策定に取り組んでいます。CODEXは、FAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)が合同で設立し、さまざまな国際食品規格の策定などを行っている組織です。
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D-1 遺伝子組換え作物の環境に対する影響はどのように確認されているのですか。?遺伝子組換え技術を使うと予想もしないような事態が発生しませんか。? |
1 開発段階の遺伝子組換え農作物は、一般の環境に影響を与えることがないように、初めは空気や水の出入りなども管理された閉鎖系の実験室内で取り扱われ、安全性を確認しながら研究が進められます。また、遺伝子組換えに当たっては、性質の明らかな遺伝子のみを、これまでの育種などにより知見が蓄積されている農作物に組み込むので、予想もしないような特性を持った組換え農作物が出現する可能性はほとんどありません。
2 このようにして開発された遺伝子組換え農作物を、一般環境中で栽培したり、実用化するに当たっては、事前に環境への影響がどのようなものか確認を行う制度が設けられています。
3 万が一、予想もしないような特性を持った組換え農作物が作出された場合でも、生物多様性への影響の面で問題を生じる可能性がある組換え農作物は排除できるように評価項目が設定されており、そのようなものは実用化されません。具体的な確認は、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(カルタヘナ法)において定められた方法に基づいて実施され、フェンスなどで外界と仕切られた隔離ほ場において試験的な栽培が行われます。
4 この試験栽培で、他の生物や、周囲の環境に及ぼす影響はどのようなものか、主に次の点が調べられます。
(a)生育のしかたや特性は、従来の農作物と変化がないか
(b)花粉が飛んで近縁種の植物と交配した結果、遺伝子を受け取った植物が環境へ悪影響を及ぼさないか
(c)雑草化しないか
(d)他の生物の生育に及ぼす影響はないか
(e)有毒物質の生産性や土壌微生物相への影響はないか
これらの試験結果から、遺伝子組換え農作物が環境に与える影響が、従来の農作物と同程度かどうかを確認します。その試験結果が農林水産省・環境省に提出され、審査の結果、環境に対する安全性が確認されたものが、一般のほ場でも栽培したり輸入したりできる仕組みとなっています。
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D-2 遺伝子組換え生物の取り扱いに関する国際的な取り決めとして、「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書」というものがあると聞きますが、それはどのようなものですか。? |
1 カルタヘナ議定書は、生物多様性条約の下の議定書であり、現代のバイオテクノロジーにより改変された生物Living Modified Organisms(「LMO」と略します。)による生物多様性の保全及び持続可能な利用への影響を防止するための国際的な枠組みを定めたものです。なお、『カルタヘナ』とは、この議定書が検討された生物多様性条約締約国特別会合の開催地であるコロンビアの都市の名前です。
2 主な内容は次のとおりです。
(a)議定書の目的
特に国境を越える移動に焦点を合わせて、生物多様性の保全及び持続可能な利用に悪影響を及ぼす可能性のあるLMOの安全な移送、取扱い及び利用の分野において十分な水準の保護を確保することに寄与することを目的としています。
(b)議定書の適用範囲
生物多様性に悪影響を及ぼす可能性のあるすべてのLMOの国境を越える移動、通過、取扱い及び利用について適用されます(人用の医薬品は対象外。)
(c)輸出入に関する手続き
(ア)環境への意図的な導入を目的とするLMO(栽培用種子など)の輸出入に際しては、事前の通告による同意(AIA)手続きが必要、としています。輸出国(または輸出者)は、LMOの意図的な国境を越える移動に先立ち、輸入国に対して通告を行い、輸入国は、その情報を踏まえ、リスク評価を実施し輸入の可否を決定することとしています。
(イ)輸入締約国の基準に従って行われる拡散防止措置の下での利用を目的とするLMOの輸出入については、AIAの適用除外とされています。
(ウ)食料若しくは飼料として直接利用し又は加工することを目的とするLMO(コモディティ)の輸出入に関しては、AIA手続きを必要とされていませんが、コモディティとして輸出される可能性のあるLMOの環境放出(野外試験を除く)を決定した締約国(当該LMOの生産国であり輸出国となりうる締約国)は、バイオセーフティに関する情報交換センター(BCH)を通じてその決定を他の締約国に通報することとしています。また、輸入締約国は自国の国内規制の枠組みに従いコモディティの輸入について決定することができるとしています。
(d)リスク評価、リスク管理の実施
輸入締約国は、LMOの輸入の決定に際し、リスク評価が実施されることを確保するとともに、リスク評価によって特定されたリスクを規制し、管理し、制御するための制度等を定め、維持することとなっています。
(e)取扱い、輸送、包装及び表示について
議定書の締約国は、LMOの安全な取扱い等を義務づけるために必要な措置をとること、また、LMOには、必要な情報を含んだ文書を添付することを義務付ける措置を講ずることとなっています。
(参考1)カルタヘナ議定書の概要(PDF)
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D-3 「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)」とは、どのような法律ですか。? |
1 カルタヘナ法とは、国際的に協力して生物多様性の確保を図るために、遺伝子組換え生物等(遺伝子組換え生物あるいは科を越える細胞融合により得られた生物を指します。)の使用等に関する措置を講ずることにより生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の的確かつ円滑な実施を確保することを目的とした法律です。
2 法律では、次のようなことが規定されています。
(a)主務大臣(財務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、経済産業大臣、環境大臣)が、遺伝子組換え生物等の使用等による生物多様性影響(遺伝子組換え生物等の使用等による生ずる影響であって生物の多様性を損なうおそれ(野生動植物や微生物の種又は個体群の維持に支障を及ぼすおそれなど)のあるもの)を防止するための施策の実施に関する基本的な事項等を定め、これを公表すること。
(b)遺伝子組換え生物等の使用等に先立ち、使用形態に応じた措置を実施することとし、
(ア)遺伝子組換え生物等の環境中への拡散を防止しないで行う使用等(第一種使用等)の場合は、新規の遺伝子組換え生物等の使用等をしようとする者(開発者、輸入者等)等は事前に第一種使用規程を定め、生物多様性影響評価書等を添付し、主務大臣の承認を受けること、
(イ)遺伝子組換え生物等の環境中への拡散を防止しつつ行う使用等(第2種使用等)の場合は、施設の態様等拡散防止措置が主務省令で定められている場合は、当該措置をとること。定められていない場合は、あらかじめ主務大臣の確認を受けた拡散防止措置をとること、
を義務づけています。
(c)このほかに、未承認の遺伝子組換え生物等の輸入の有無を検査するための仕組み、輸出の際の相手国への情報提供、科学的知見の充実のための措置、国民の意見の聴取、違反者への措置命令、罰則等が規定されています。
1 カルタヘナ法でいう『生物多様性影響』とは、遺伝子組換え生物等の使用等による生ずる影響であって生物の多様性を損なうおそれ(野生動植物や微生物の種又は個体群の維持に支障を及ぼすおそれなど)のあるものをいいます。
2 具体的には、
(a)遺伝子組換え農作物が、農耕地以外の生態系に侵入して、その繁殖力の強さ等により、在来の野生植物を駆逐してしまうこと
(b)遺伝子組換え農作物が近縁の野生種と交雑して、野生種が交雑したものに置き換わってしまうこと
(c)遺伝子組換え農作物が作り出す有害物質によって周辺の野生動植物や微生物が死滅してしまうこと
などを想定しています。
3 なお、一般の農作物は野生状態で種又は個体群の維持が図られているものではないため、生物多様性影響評価の対象にはなりません。
1 生物多様性影響評価は、遺伝子組換え生物等の第一種使用等(遺伝子組換え生物等が環境中に拡散することを防止する措置をとらないで行う使用等)により我が国の生物多様性に影響を及ぼすおそれがあるかどうかを明らかにするために行うものです。最新の科学的知見を踏まえ、遺伝子組換え生物等の第一種使用等についてカルタヘナ法に基づく承認を申請する者が評価書を作成し、その内容の妥当性等を学識経験者が科学的な見地から検討することとなっています。
2 生物多様性影響評価の手順・内容は次のようになっています。
(a)生物多様性影響評価を行うために必要な情報の収集
(ア)遺伝子組換え生物等のもととなった組み換える前の生物(宿主)又は宿主の属する分類学上の種に関する情報
(イ)遺伝子組換え生物等の調製等に関する情報
(ウ)遺伝子組換え生物等の使用等に関する情報
を収集した上で、これらの情報を踏まえて生物多様性影響評価を行うこととしています。
なお、以下の手順に従って評価を行う際に、これ以外の情報が必要なときは、追加して情報収集を行うこととなります。
(b)手順1:影響を受ける可能性のある野生動植物又は微生物の特定
組換え農作物の場合であれば、
(ア)競合における優位性(野生植物と栄養分、日照、生育場所等の資源を巡って競合し、それらの生育に支障を及ぼす性質)、
(イ)有害物質の産生性(野生動植物又は微生物の生息又は生育に支障を及ぼす物質を産生する性質)、
(ウ)交雑性(近縁の野生動植物と交雑し、移入された核酸をそれらに伝達する性質)
などの性質に着目し、これらの性質により影響を受ける可能性のある野生動植物又は微生物を特定します。
(c)手順2:手順1で特定した野生動植物又は微生物が受ける影響の具体的内容の評価
手順1で特定した野生動植物等が遺伝子組換え生物等から受ける影響の内容について、(ア)~(ウ)の項目ごとに実験や関連する情報を収集して評価します。
(d)手順3:影響の生じやすさの評価
(ア)~(ウ)の項目ごとに野生動植物等の生息又は生育する場所又は時期その他の関連情報を収集して評価
(e)手順4:(ア)~(ウ)の項目ごとに手順1で特定された影響を受ける可能性があると特定された野生動植物の種又は個体群の維持に支障を及ぼす可能性の有無の評価
(f)手順5:それぞれの項目の評価結果を踏まえ、生物多様性影響の生ずるおそれの有無について総合的に判断します。
生物多様性影響評価は、以上の手順・内容で行われます。
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D-6 生物多様性影響評価に必要なデータを得るための試験は開発企業自身ではなく、第三者機関が実施すべきではないですか。? |
1 生物多様性影響評価書※1は、遺伝子組換え農作物を作成しようとする者等が、安全の確保について責任を持つという考えに基づき、申請者(開発企業等)が自らデータを集め作成することになっています(カルタヘナ法第4条)。
2 生物多様性影響評価書は申請者が自ら収集したデータだけでなく、公的試験研究機関が実施した試験成績や第三者が公表している学術論文等も積極的に活用して作成され、学識経験者からなる生物多様性影響評価検討会※2において、その評価の妥当性の検証を行っています。検討会において、必要なデータが不足していると判断された場合には、申請者に追加データを含めた生物多様性影響評価書の再提出を求めています。このような過程を経て、農林水産大臣により、申請者が行った生物多様性影響評価(我が国の生物多様性に影響を及ぼすおそれがないという評価)が妥当である、と判断された遺伝子組換え農作物のみが、その使用を承認されることとなっています。
3 なお、こうした申請者にデータ等を提出させる審査の方法は、EUにおける遺伝子組換え生物の安全性審査においても同様に行われています。
※1生物多様性影響評価書については(問D-3)をご覧下さい。
※2生物多様性影響評価検討会については(問D-7)をご覧ください。
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D-7 カルタヘナ法では第一種使用規程の承認に当たって農林水産大臣、環境大臣が学識経験者の意見を聴くこととなっていますが、どのように行っているのですか。? |
1 カルタヘナ法に基づく遺伝子組換え生物等の第一種使用規程の承認に当たっては、主務大臣は学識経験者から意見聴取することとなっていますが、この意見聴取のうち農林水産大臣がその生産又は流通を所管する遺伝子組換え生物等に係るもの(農作物など)については、農林水産大臣と環境大臣が公表した名簿に掲げられている学識経験者からなる『生物多様性影響評価検討会』を農林水産省と環境省が共同で開催して学識経験者の意見を聴取しています。
2 具体的には、
(a)まず、第一種使用規程の申請に係る遺伝子組換え生物等の特性に関し専門的な知見を有する専門家及び遺伝子組換え生物等の第一種使用等によって影響を受ける可能性のある生物、生態系等に関し知見を有する専門家が専門的な見地から検討を行う検討会(これを『分科会』と呼んでいます。)を開催した上で、
(b)次に、分科会での学識経験者の意見の内容を踏まえ幅広い視点から総合的な検討を行う検討会(総合検討会)を開催するという手順で意見聴取を行っています。
3 なお、生物多様性影響評価検討会のうち総合検討会については、審査の透明性等を確保するため、公開で開催することとしています(議事録、提出資料についても原則公開することとしています)。
4 生物多様性影響評価検討会総合検討会の開催に当たっては、プレスリリースによりお知らせするとともに、農林水産省及び環境省のホームページで情報の提供を行っていますのでご参照下さい。
1 カルタヘナ法に基づく承認の状況は、農林水産省のホームページの中の遺伝子組換え生物等の生物多様性影響に関する情報コーナー、環境省のバイオセーフティクリアリングハウス(J-BCH)で情報提供を行っています。
2 また、世界各国の情報については、カルタヘナ議定書のバイオセーフティクリアリングハウスをご参照下さい。
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D-9 遺伝子組換え農作物を長期間使用した場合に、評価時点では予測できなかった生物多様性影響が生じることはないのですか。? |
1 生物多様性影響を評価する際には、最新の科学的知見を踏まえて評価を行うこととしていますが、評価時点では予測できなかった環境の変化や承認以降の科学的知見の充実により、承認された第一種使用規程に従って使用等を行っていたとしても、生物多様性影響が生じないとは言えない状況に至ることがある可能性は否定できません。
2 このため、カルタヘナ法では、主務大臣は第一種使用規程に係る承認取得者に対し必要な情報の提供を求めることができることとしており、また、国は遺伝子組換え生物等及びその使用等により生ずる生物多様性影響に関する科学的知見の充実を図るため、これらに関する情報の収集、整理及び分析並びに研究の推進などの措置を講じるよう努めることとされています。
3 また、承認取得者に対しては、主務大臣から情報の提供を求められた場合に対応できるよう、承認を受けた遺伝子組換え農作物の第一種使用等を行っている者に対し、当該農作物の第一種使用等の状況、第一種使用等により生ずる影響に関する情報の収集に努めることを求めています。
4 さらに、環境の変化や承認以降の科学的知見の充実により、承認された第一種使用規程に従って使用等を行っていたとしても、生物多様性影響が生じないとは言えない状況に至ったばあいには、第一種使用規程を変更又は廃止しなければならないことになっています。
1 遺伝子組換え農作物の第一種使用規程の承認は、その時点における最新の科学的知見に基づき、生物多様性影響が生ずるおそれがないと認められるときに行われますが、承認の時には予想することができなかった環境の変化等により生物多様性影響が生じないとは言えない状況に至ることがある可能性は否定できません。
2 このため、こうした事態が生じた場合に備え、第一種使用規程の申請者に対し、生物多様性影響が生ずるおそれがあると認められるに至った場合の緊急措置に関する計画書を定めるように求めるとともに、こうした事態が生じた場合には迅速に必要な措置をとるよう求めています。
3 緊急措置計画書では、
(a)申請に係る第一種使用等の状況の把握方法
(b)申請に係る第一種使用等をしている者に緊急措置を講ずる必要があること及び講ずべき緊急措置の内容を周知するための方法
(c)申請に係る遺伝子組換え生物等を不活化し又は拡散を防止する措置をとってその使用を継続するための具体的な措置の内容
(d)農林水産大臣・環境大臣への連絡の方法
を定めることとしています。
4 また、カルタヘナ法では、生物多様性影響が生ずるおそれがあると認められるに至った場合には、主務大臣は、学識経験者の意見を踏まえ、第一種使用規程を変更又は廃止するとともに、生物多様性影響を防止するため緊急の必要があると認めるときは、生物多様性影響を防止するために必要な限度において、申請に係る第一種使用等をしている者などに対し、その第一種使用等を中止することその他の必要な措置をとるべきことを命令することができることとなっています。
1 『隔離ほ場』とは、我が国の自然条件の下で生育した場合の特性が科学的見地から明らかではない遺伝子組換え農作物について、我が国の自然条件の下で生育した場合の特性を明らかにするための試験栽培を行うほ場です。
2 隔離ほ場は、以下の(a)の設備要件を満たす施設であることが必要であり、さらにその施設では、(b)の作業要領に従った第一種使用等が行われることを確保する必要があります。
(a)設備に関する要件
(ア)フェンスその他の部外者の立入を防止するための囲い
(イ)隔離ほ場であること、部外者は立入禁止であることなどを記載した標識
(ウ)隔離ほ場で使用した機械などを洗浄する設備など組換え農作物が隔離ほ場の外に意図せず持ち出されることを防止するための設備
(エ)遺伝子組換え農作物の花粉が広範囲に飛散することが想定される場合は、防風林、防風網など花粉の飛散を減少させるための設備
(b)作業要領
(ア)遺伝子組換え農作物及び比較対象の農作物以外の植物の隔離ほ場内における生育を最小限度に抑えること。
(イ)遺伝子組換え農作物(隔離ほ場内で栽培した組換え農作物以外の植物で、組換え農作物と区別のつきにくいものを含む)を隔離ほ場の外に運搬し、又は保管する場合は、遺伝子組換え農作物の漏出を防止すること。
(ウ)遺伝子組換え農作物の栽培が終了した後は、遺伝子組換え農作物を隔離ほ場内で不活化すること。
(エ)遺伝子組換え農作物が隔離ほ場で使用した機械・器具や作業に従事した者の靴などに付着して、意図せずに隔離ほ場外に持ち出されることを防止すること。
(オ)(a)の隔離ほ場の設備の機能を保持すること。
(カ)(ア)から(オ)の事項を第一種使用等を行う者に遵守させること。
(キ)花粉が拡散する範囲内に影響を受ける可能性のある野生動植物等が生息又は生育している場合は、その範囲を含む範囲内においてその野生動植物等への影響の有無などの調査を実施すること。
(ク)生物多様性影響のおそれがあると認められたときは事前に策定した緊急措置計画書に従った措置を確実に講じること。
3 なお、隔離ほ場で遺伝子組換え農作物の栽培を行う場合も第一種使用規程の施設及び作業要領の具体的内容を明示することが必要となっています。
1 遺伝子組換え農作物の生物多様性※1への影響評価のうち、遺伝子組換え農作物が野生植物と生育場所等を巡って競い合い、野生植物の生育に支障を及ぼすことがないか(競合における優位性)については、遺伝子組換え農作物と元の作物を比較して、遺伝子組換え農作物の
・花粉の生産量や性質
・種子の生産量
・越冬性や越夏性(多年草化するおそれはないか)
等が変化していないかについて、最新の科学的知見に基づき申請者が評価し、その評価の妥当性を生物多様性影響評価検討会で確認しています。このような過程を経て、問題がないと確認されたもののみに、その使用が認められることとなりますので、現在の科学的知見においては、遺伝子組換え農作物が元の農作物よりも繁殖力が強まったり、雑草化しやすくなり、野生植物へ影響が出ることはないと考えられています。
2 以上の評価は、申請者によって遺伝子組換え農作物の品種ごとに開発の各段階(実験室内での栽培試験段階、隔離ほ場※2における栽培試験段階など)において行われます。
1 遺伝子組換え農作物の生物多様性への影響評価のうち、遺伝子組換え農作物が野生植物や微生物の生育に支障を及ぼす物質を生産しないか(有害物質の産生性)については、遺伝子組換え農作物と元の農作物を比較して、
・遺伝子組換え農作物の根から分泌された物質が周辺の植物や微生物に与える影響
・遺伝子組換え農作物が枯死した後に他の植物や微生物に与える影響
・遺伝子組換え農作物を昆虫や動物が摂取した時に受ける影響
等が変化していないかについて、最新の科学的知見に基づき申請者が評価し、その評価の妥当性について生物多様性影響評価検討会で確認しています。このような過程を経て、問題がないと確認されたもののみに、その使用が認められることとなりますので、現在の科学的知見においては、遺伝子組換え農作物が予測不可能な有害物質を生産し、野生植物へ影響が出ることはないと考えられています。
2 以上の評価は、申請者によって遺伝子組換え農作物の品種ごとに開発の各段階(隔離ほ場における栽培試験段階など)において行われます。
1 遺伝子組換え農作物の生物多様性への影響評価のうち、遺伝子組換え農作物と近縁の野生植物の交雑性については、まず、遺伝子組換え農作物と交雑可能な近縁の野生種の有無を確認し、近縁の野生種がある場合は、
・遺伝子組換え農作物と野生植物の交雑が起こる可能性
・遺伝子組換え農作物に導入された遺伝子が野生種の集団中に拡がっていく可能性
・遺伝子組換え農作物と野生植物との雑種が拡がって野生種集団の維持に影響を及ぼす可能性
等について、最新の科学的知見に基づき申請者が評価し、その評価の妥当性を生物多様性影響評価検討会で確認しています。
2 このような過程を経て、これらの可能性について問題がないと確認されたもののみに、その使用が認められることとなりますので、現在の科学的知見においては、遺伝子組換え農作物が野生植物と無差別に交雑し、野生植物へ影響が出ることはないと考えられております。
1 害虫抵抗性の遺伝子組換え農作物には、害虫の防除に効果を発揮するBtタンパク質を産生させる遺伝子が組み込まれています。そのため、害虫抵抗性農作物を栽培することによって、標的害虫以外の昆虫の生態に影響を与えないか、事前に確認が行われています。
2 例えば、アワノメイガというチョウ目の害虫の防除を目的に開発された遺伝子組換えトウモロコシには、チョウ目の昆虫の全般に対して作用するBtタンパク質が含まれています。このトウモロコシを食べたアワノメイガは、Btタンパク質によって消化管が破壊され、餓死してしまうのですが、このBtタンパク質は、目的とするアワノメイガ以外に、チョウ目に属するチョウやガに対しても同様な効果を発揮します。そこで、花粉中に含まれるBtタンパク質の量や花粉が飛ぶ時期などを調べ、特に絶滅危惧種のチョウなどの生態系に影響がないか事前に調査が行われます。これらのチョウの生息地域は湿地帯が多く、トウモロコシの栽培に適した土地とは異なることや、トウモロコシの栽培時期と幼虫の生育時期が重ならないことなどから、特に影響はないと考えられています。
3 なお、通常、それぞれの昆虫が餌として食べる植物の種類は決まっています。また、花粉の飛散量(降下量)は飛散距離に反比例し、急速に少なくなります。
1 農業現場では、殺虫剤の使用により、その殺虫剤に対して抵抗力を持った害虫が出現してくることがあります。このことは害虫抵抗性の遺伝子組換え農作物にも当てはまります。このため、遺伝子組換え農作物の栽培が普及している米国では、害虫抵抗性の遺伝子組換え農作物が栽培されている畑の中または周囲に、非遺伝子組換え農作物を栽培する保護区を設けることが義務付けられています。
2 このことにより、仮に抵抗力を持った害虫が出現したとしても、保護区で生育している抵抗力を持たない害虫と繁殖することにより、抵抗力を持った害虫の出現頻度を低下させることができます。(抵抗力を持った害虫と、それを持たない害虫が繁殖した場合、通常抵抗力を持たない子が生まれることが知られています。)
3 また、抵抗力のある害虫の出現を定期的に調査して、プログラムがきちんと守られ、機能しているか確認しています。
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D-17 除草剤耐性の遺伝子組換え農作物が雑草と交雑して、除草剤をまいても枯れない雑草が繁殖してしまうことはないですか。? |
1 現在の農作物は栽培用に開発されたもので、人が除草や施肥などをして保護しなければ、基本的には生育できなくなっています。管理された農地でしか繁殖できないため、トウモロコシやダイズなどの農作物が自然環境下で野生化してしまうことは、まずありません。このような農作物に、遺伝子組換えによって、除草剤の影響を受けないという性質が加わっても、それだけで生命力や繁殖力が強くなったりするわけではないので、雑草化してしまったり、自然環境において他の植物より優位に繁殖するということはないと考えられています。
2 除草剤の影響を受けない農作物とは、遺伝子組換えによって、ある特定の除草剤の影響を受けない性質を持たせた農作物です。具体的には、数多くある除草剤のうち、グリホサートの影響を受けないダイズや、グルホシネートに耐性のあるトウモロコシなどがあります。これは、『自然界での生命力が強くなる』とか『どんな除草剤をまいても枯れない』遺伝子を組み込んだものではありません。仮に、遺伝子組換え農作物とその近縁種である雑草が交雑して、除草剤耐性の遺伝子が雑草に移ってしまったとしても、その雑草の自然の環境における生命力や繁殖力が強くなったりするわけではありません。
3 また、ほかの除草剤をまけば枯れてしまいますので、どんな除草剤でも効かないような雑草ができてしまうこともありません。ちなみに、我が国で農薬登録されている除草剤は、有効成分別で130種類以上に上ります。したがって、人間の手におえなくなるようなことはないと考えられています。
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D-18 道路沿いで遺伝子組換えナタネの生育が確認された、という報道があったと聞きましたが、その事実関係を教えてください。 |
1 農林水産省技術会議事務局技術安全課(当時)が平成14年度から平成15年度にかけて実施した『原材料用輸入セイヨウナタネのこぼれ落ち実態調査』の中で、ナタネの輸入港周辺の道路沿いで遺伝子組換えナタネが生育していたことが確認されました。
2 我が国は、セイヨウナタネを、食用油の原料として、主にカナダ、オーストラリアから輸入しています。調査当時、オーストラリアでは遺伝子組換えナタネの栽培は行われていませんでしたが、カナダでは、ナタネ栽培面積の半分以上が遺伝子組換えナタネでした。このことからする、この調査で港周辺の道路沿いで生育が確認された遺伝子組換えナタネは、原材料用としてカナダから輸入された遺伝子組換えセイヨウナタネが、何らかの原因で環境中に逸出し、生育したものであると考えられました。
3 平成15年度までは、「農林水産分野等における組換え体の利用のための指針」に基づき農林水産大臣が、遺伝子組換え農作物の環境への安全性の確認を行なっておりこの中で、栽培を目的としない、原材料用として輸入する遺伝子組換えセイヨウナタネについても、何らかの原因で環境中に逸出することを想定して、環境への影響を評価し、その安全性を確認してきました。この調査において、生育が確認された遺伝子組換えセイヨウナタネもこのような安全性の確認を受けている系統に属するものでした。
4 なお、その後、実施している遺伝子組換え植物の実態調査においても、輸入港周辺において遺伝子組換えセイヨウナタネの生育が確認されていますが、これらは、カルタヘナ法、、食品衛生法及び飼料安全法において安全性の確認を受けている系統に属するものです。
1 セイヨウナタネは路傍や工場跡地のような定期的に人手が加えられる環境で自生化することがありますが、人手がほとんど加えられない自然条件下では多年生の野生植物などとの競合に敗れて自生化することは困難であることが知られており、日本の在来植物を駆逐して生物多様性に影響を及ぼす侵略的な生物種とはみなされていません。
2 実際に、わが国はセイヨウナタネの長期にわたる輸入経験があり、種子のこぼれ落ちに由来する路傍などでの生育はこれまでにもあったと考えられますが、これらが我が国の生物多様性に悪影響を与えた事例は知られていません。
遺伝子組換えセイヨウナタネについても、同様に国内での生育が確認されていますが、これらは、カルタヘナ法に基づく生物多様性影響評価において、従来の非遺伝子組換えのセイヨウナタネと比べて生存能力や交雑性が高まっていないと評価されているものであり、我が国の生物多様性に悪影響を与えることはないものと判断されています。
3 なお、国民の関心も高いことから、農林水産省では、遺伝子組換えセイヨウナタネの生態学的特性や生育実態について、継続的に調査しています。
1 我が国で使用が認められている除草剤耐性遺伝子組換えセイヨウナタネは、除草剤耐性を持っていること以外は、元のセイヨウナタネと違いがないことが確認されており、1年生又は2年生の植物です。また、遺伝子組換えによって、当該セイヨウナタネの越冬性が増強されたとの事例、あるいはそれによって、多年草化しているといった事例(研究結果)は報告されていません。
2 したがって、2年以上生育して多年草化する可能性は極めて低いと考えられます。
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D-21 輸入港周辺で生育する遺伝子組換えセイヨウナタネがハクサイ、カブ、コマツナなどのアブラナ科野菜と交雑して、遺伝子組換え野菜ができることはないですか。? |
1 セイヨウナタネは同属のBrassicarapa(ハクサイ、カブ、コマツナ、チンゲンサイ、ミズナ、在来ナタネなどが含まれる)や、Brassica juncea(カラシナ、タカナなどが含まれる)などと交雑することが知られています。これら交雑の可能性がある野菜は通常の栽培において花が咲く前に収穫されるため、遺伝子組換えセイヨウナタネと交雑し、組換え遺伝子が自然環境下に広がっていく可能性は極めて低いと考えられます。
2 また、これらは種が異なることから雑種そのものの形成は困難であり、かつ、雑種が形成されたとしてもその後代の花粉稔性※は著しく低下することも知られています。
3 さらに、交雑が起こる確率は、例えば在来ナタネ(Brassicarapa)との場合には、平均で10数%程度であることが報告されていますが、これまでに野外条件下で遺伝子組換えナタネと在来ナタネとの自然交雑個体が見出された報告は、カナダでの例(1個体)など、世界でもごく少数しかありません。加えて、在来ナタネ以外のアブラナ科植物(キャベツ、ダイコン、ブロッコリ等)と交雑したという報告は現在まで確認されていません。
※生殖能力がある花粉が作られることを「花粉稔性(ねんせい)」といいます。
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D-22 『遺伝子組換えトウモロコシの花粉を食べたチョウが死んだ』という報道がありましたが、その事実関係を教えてください。 |
1 1999年(平成11年)5月20日の科学雑誌Natureに、コーネル大学ロゼイ博士らの以下のような論文が掲載されました。
2 『トウワタの葉にBt毒素を発現する遺伝子組換えトウモロコシ(Btコーン)の花粉をまぶし、オオカバマダラの幼虫に与え、時間を追って生存率を調べたところ、遺伝子組換えトウモロコシの花粉をまぶした葉を食べた幼虫は、時間とともに生存率が減少し、4日後には44%が死亡した。また、組換えトウモロコシの花粉をまぶした葉を食べた幼虫は食べる量も少なく、体重増加量も少なかった』さらに、『トウワタはトウモロコシ畑の近くに生育し、オオカバマダラの生息地域がトウモロコシの生育地域と重なり、幼虫の生育時期が花粉の飛ぶ時期と一致するという事実から、オオカバマダラに有害な影響を及ぼす可能性がある』と結論づけました。(J. E. Losey, L. S. Rayor & M. E. Carter: Nature, 399, 214, 1999)
3 オオカバマダラはチョウ目に属し、もともと、Bt毒素はチョウ目やハエ目などに属する昆虫に対し毒性を示すことから、目的害虫以外の昆虫への影響は想定されていました。これを受けて、自然界における影響の重要性を考え、調査研究が実施され、科学的な検証の結果、『実験レベルでは影響が見られるが、自然状態ではオオカバマダラ個体群の存続に与える影響は無視できる』と結論づけられました。さらに、ロゼイ博士自身が、『自分の実験結果を生態系と関連させるのは間違いである』(米国バイオ協会ホームページ)と、自ら指摘しました。
4 アワノメイガ以外のチョウ目昆虫は、アオムシ、ヨトウムシ、ハマキムシ、アメリカシロヒトリと多岐にわたりますが、それらの昆虫には摂食範囲があり、自然生態系の中で、トウモロコシを食べに行くことはないとされています。
1 遺伝子組換え食品は、内閣府食品安全委員会と厚生労働省による安全性審査を受けることが義務付けられています。遺伝子組換え農作物を食品として利用する場合、厚生労働大臣が定めた食品としての安全性を審査する手続きを経ることが食品衛生法上で義務づけられています。
2 食品安全委員会では、科学的に食品安全性の評価を行っています。組換え食品の安全性の評価は、食品安全委員会が検討し、決定した評価基準、評価の考え方などに基づき行われます。現在、種子植物の場合の安全性の評価基準、評価の考え方などが「遺伝子組換え食品(種子植物)の安全性評価基準」、「遺伝子組換え植物の掛け合わせについての安全性評価の考え方」として決定されています。安全性審査では、申請者が提出した安全性評価の詳細な資料について、その評価が本当に正しいものであるか専門家によって厳しく審査されます。
3 安全性の確認は、主に組換えDNA技術により付加される全ての性質、組換えDNA技術に起因し発生するその他の影響が生ずる可能性について行われます。具体的には、挿入遺伝子の安全性、挿入遺伝子により産生されるタンパクの有害性の有無、アレルギー誘発性の有無、挿入遺伝子が間接的に作用し、他の有害物質を産生する可能性の有無、遺伝子を挿入したことにより成分に重大な変化を起こす可能性の有無などを確認しています。そして、従来の食品と同じように食べても安全であることが確認された遺伝子組換え食品だけが日本での販売や輸入が許可される仕組みになっています。
1 『実質的同等性』とは、遺伝子組換え農作物(食品)の安全性を評価する際に、遺伝子組換え農作物(食品)とこれまで人が食べてきた非遺伝子組換え農作物(食品)と比べて、組換えた成分以外が同じかどうか判断するための考え方です。
2 私たちは、毎日いろいろな農作物を食べていますが、これらの食べ物の安全性は、人類が長い間食べ続けるため工夫してきた調理法などの経験で確保されています。例えば、ジャガイモの芽のように毒のあるものは皮をむいて毒のある部分を取り除き、ダイズは生で食べるとおなかをこわしてしまうので、加熱して食べます。このように、農作物(食品)にはさまざまな成分があり、含まれている成分すべてが安全というわけではありません。
3 このようなことがあるので、遺伝子組換え(農作物)食品が安全かどうか、これまで安全に食べられてきた農作物(食品)と比較する考え方です。つまり、遺伝子組換え農作物(食品)と、これまで人が食べてきた非遺伝子組換え作物(食品)とを比べて『実質的に同じかどうか』が検討されます。それは、
(a)遺伝的素材に関する事項
(b)広範囲なヒトの安全な食経験に関する資料
(c)食品の構成成分などに関する資料
(d)既存種と新品種の使用方法の相違に関する資料
の各要素について検討し、当該植物と既存のものが全体として食品としての同等性を失っていないと客観的に判断できるかどうかにより行います。
4 『実質的に同等とみなせる』と客観的に判断された場合、これまで安全に食べられてきた農作物(食品)の知見などの蓄積が十分ですから、同じ成分の安全性は評価をされません。しかし、新しく生じる変化(新しく導入した遺伝子により変化した成分などの安全性など)については安全性が評価されます。
5 このように実質的に同等とみなすこと自体が、遺伝子組換え農作物(食品)が安全であることを意味するわけではありません。実質的に同等な遺伝子組換え農作物(食品)の安全性は、さらに新しく導入した遺伝子により変化した成分などの安全性などを比較評価して、安全性を判断しています。
1 まず、遺伝子についてですが、全ての生き物には必ず、DNA(遺伝子の本体)が含まれています。食べ物のほとんどは生き物に由来しますので、我々は日々『遺伝子(DNA)を食べて』います。しかし、通常食べられた他の生物の遺伝子がそれを食べた人や動物の体に残ることはありません。というのは、食物として食べられたものは、胃や腸の中で消化、吸収され、もとの遺伝子の形をとどめないからです。組換えられた遺伝子もその他の遺伝子と全く同様に消化・吸収されます。
2 遺伝子組換え農作物が従来の農作物と比較して異なる点は、新たに挿入したDNAが組み込まれたことと、そのDNAによって新たに作られる物質が含まれるようになったことです。遺伝子組換えによって新たに作られる物質は、主としてタンパク質です。これらのタンパク質は、食べたあと消化されてしまうことが確認されています。また、毒性を持たないこと、アレルギーを引きおこさないことなども確認されています。
3 例えば、ある種の有機塩素系化合物や重金属のように、食べると消化管から吸収されて体内に蓄積する物質の場合は、一度に摂取する量がたとえ微量であっても、人が長期間食べ続けたときの影響を検討しなければなりません。
4 しかし、遺伝子組換えによって新たに作られるタンパク質もDNA同様、消化されてしまうことが確認されていますから、体内に蓄積して悪影響を及ぼすことはありません。
1 遺伝子組換えDNA技術により、挿入される遺伝子の全塩基配列が明らかにされているので、有害物質を作る塩基配列が存在しないことが確認されています。また、目的外の遺伝子の混入がないこと、目的外のタンパク質を発現するオープンリーディングフレームが含まれていないことなどを確認し、新たな有害物質が作られていないことも確認しています。
2 既存の有害物質として、ナタネにはエルシン酸(エルカ酸)やグルコシノレートなど、また、ジャガイモにはソラニンなどのグリコアルカロイドなどの天然の有害物質が含まれています。市販されている作物に含まれている程度の量では、通常の調理などによりヒトの健康への影響は生じません。遺伝子組換え技術を用いることによって、こうした有害物質が有意に増えていないことを確認していますので、その安全性は既存の作物と同様に確保されています。
3 さらに生物多様性影響評価においても、その有害物質の産生性について評価を行っています。具体的には、元の作物と比較して、
(a)遺伝子組換え農作物の根から分泌された物質が周辺の植物、微生物に影響を与える可能性
(b)遺伝子組換え農作物が枯死した後に他の植物、微生物に影響を与える可能性
(c)遺伝子組換え農作物を昆虫や動物が摂取した時に影響を与える可能性
などについて品種ごとに確認しており、生物多様性に影響の恐れのないもののみ、野外での栽培などが認められることになります。
1 安全性評価基準では、遺伝子組換えDNA技術を応用して生産された食品(遺伝子組換え食品)の安全性審査においては、一律に毒性試験が不要であるという扱いになっているものではなく、慢性毒性試験などは必要に応じて実施されるべきであるとされています。
2 安全性評価基準においては、必要に応じて一連の毒性試験(急性毒性に関する試験、亜急性毒性に関する試験、慢性毒性に関する試験、生殖に及ぼす影響に関する試験、変異原性に関する試験、がん原性に関する試験およびその他必要な試験(腸管毒性試験など))のデータを求めています。科学的に必要がないと判断されれば省略することができるとされています。
3 実際、これまでに安全性審査のなされた組換え食品は、急性毒性に関する試験を実施しているものもありますが、慢性毒性などに関する試験は実施する必要がないと個別に判断されたものです。
4 その理由は、安全性審査においては、まず提出された資料により既知のアレルギー物質、有害物質などヒトの健康に影響を及ぼすような新たな物質が産生されていないことを確認しています。組換え技術を利用することで付加される物質について、明確な安全性を示す根拠がない場合には、必要に応じて急性毒性試験などの毒性学的試験が必要とされています。付加される物質が、ヒト体内や既存の食品中に元来存在するもの(内在性物質)、速やかに分解・代謝され内在性物質に変化するものである場合などには、急性毒性試験の結果から、もとの物質の安全性について評価することが可能です。
5 遺伝子組換えによって新たに作られる成分は、主にタンパク質ですから、このタンパク質がきちんと消化されて、体内に蓄積しないことがわかれば、長期毒性試験を行う必要はないとされています。これまでに安全性が確認された遺伝子組換え食品は、既知のアレルゲンや有害物質が増えていないことが確認されているので、長期の毒性試験が必要とされたものはありません。また、アレルゲンとなる可能性を持った消化され難いタンパク質を生産する遺伝子組換え農作物は、現在まで食品として認可されていません。
1 食品は、様々な成分から構成されていますが、その中には、人によってアレルギー症状を引き起こす物質(アレルゲン)が含まれている場合があります。例えば、小麦、そば、落花生、牛乳、卵などはアレルゲンが含まれることが知られています。そのため、遺伝子組換え食品は、遺伝子組換えによって、これまでの食品に比べてアレルギー性が増える心配がないか、様々な角度から徹底的に検証した後、商品化されています。
2 これまでの研究によって、アレルゲンとなるタンパク質は、ある似通ったアミノ酸配列を持ち、胃腸の中の消化酵素や胃酸で消化され難く、熱にも強いという特徴を持っています。また、その食品中に高濃度に含まれることも大きな特徴です。そこで、組換えによって新しく作られるタンパク質について、既知のアレルゲンとアミノ酸の配列に類似点がないか、胃腸で速やかに消化されるかなどを調べて、これらの条件に当てはまらないかどうか確認されています。
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E-7 ブラジルナッツの遺伝子を導入した遺伝子組換えダイズがアレルギーを引き起こすという話を聞いたのですが、詳しく教えてください。 |
1 米国でダイズの栄養価を高めるために、ブラジルナッツの遺伝子が導入されました。この組換えダイズの食品としての安全性確認試験の途上、導入された遺伝子が作るタンパク質がアレルギーを引き起こすことが分かり、開発は中止されました。
2 ブラジルナッツが一部の人にアレルギーを起こすことから、組換えダイズでアレルギーを引き起こすタンパク質が作られる可能性があることは想定されましたが、これを確認した上で開発を中止し、商品化をとりやめたという点において、安全性のチェックシステムが有効に働いた例といえましょう。
1 バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)という細菌は、ガやチョウなどのチョウ目、カナブンなどのコウチュウ目の昆虫に殺虫効果があることから、30年以上も前から生物農薬として使用され、また、有機栽培にも使われています。害虫に強い遺伝子組換え農作物には、このバチルス・チューリンゲンシス(Bt)から取り出したBtタンパク質を作る遺伝子が組み込まれています。
2 一番よく知られているのは、Btトウモロコシで、ヨーロピアン・コーン・ボーラー(アワノメイガ)というトウモロコシの害虫に対して殺虫効果があります。ヨーロピアン・コーン・ボーラーがBtタンパク質を食べると、この昆虫の消化管の中がアルカリ性のため、Btタンパク質が消化管の中で殺虫効果を持つ形に活性化され、消化管に存在する『受容体』と呼ばれる部位と結合します。すると、消化管の細胞が破壊されてしまい、ヨーロピアン・コーン・ボーラーは食べ物を消化することができなくなり、餓死してしまいます。
3 しかし、ヒトやウシ、ブタ、ニワトリなどは、胃の中が酸性なので、Btタンパク質は分解されてしまいます。また、もともとヒトやウシ、ブタ、ニワトリなどは受容体自体を持っていないので毒性が発揮されることはありません。
4 このように、害虫がBtタンパク質を食べて死ぬのは、害虫特有のからだの仕組みによるもので、人間のからだには影響ありません。なお、Bt菌は生物農薬としても既に利用されてきた歴史もあり、有機農業でも使用が認められていますが、遺伝子組換え植物体内のBtタンパク質の濃度は、生物農薬として散布される濃度よりも格段に低いことが知られています。
1 イギリスのロウェット研究所に所属するアーパド・パズタイ博士が、『害虫抵抗性の可能性があるレクチン合成遺伝子を組み込んだジャガイモをラットに与えたところ、免疫力の低下と発育の阻害が認められた』とイギリスのテレビで発言し(1998年(平成10年)8月10日)、これを受けて、マスコミは、『遺伝子組換え農作物の害を初めて実証した』と、一斉に報道しました。さらに、パズタイ博士の共同研究者であるアバディーン大学のスタンリー・イーウェン博士が同様に、レクチン合成遺伝子を組み込んだジャガイモを10日間ラットに与えたところ、胃の内壁や小腸などに異常が見られたと発表しました。(The Lancet, Vol.354, 1314-1315 & 1353-1355, Oct.16 1999)
2 しかしながら、パズタイ博士およびイーウェン博士の実験には、以下に示すように、多くの不備な点があると指摘されました。
(a)実験動物の数(5匹のラットのみ)が少ない。従って影響の変動が一貫していない
(b)与えた飼料中のタンパク質量が少なく、栄養バランスに問題がある。飼料の組成分析も実施していない
(c)比較対照実験が不十分
(d)使用されたマツユキソウのレクチンタンパク質は、もともとヒト白血球細胞に強く結合する報告があり、そもそも、使用された遺伝子(レクチン合成遺伝子)から作られるタンパク質の安全性評価がなされていない
以上のことから、イギリスの新規食品・加工諮問委員会(ACNFP)は、『彼らの実験設計とデータからは、遺伝子組換えジャガイモで免疫力を低下させるという結論は引き出せない』(1999年(平成11年)5月17日)とし、遺伝子組換えによる影響で免疫力が下がったとは科学的に結論できないとしました。
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E-10 遺伝子組換え微生物を利用して生産されたトリプトファンを摂取した人の中に健康被害が発生したことがあったと聞きますが、その事実関係を教えてください。 |
1 この事件は、1989年(平成元年)後半、米国でL-トリプトファンを主成分とする食品を摂取した者の中から、全身性の激しい筋肉痛と好酸球増多を主な症状とする健康被害(好酸球増多・筋肉痛症候群:EMS)が多発したもので、報告患者数は米国だけで1,500人以上といわれています。
2 この事件の原因は、L-トリプトファン含有食品の製造工程で生成した不純物が健康被害の一因であったといわれており、厚生労働省の『必須アミノ酸等製品による健康被害に関する研究班』は、これらの不純物が組換えDNA技術と直接関連性があるとはいえないとしています。(研究班の報告書:文献番号19970397「必須アミノ酸等による健康影響に関する研究」)
3 厚生労働省としては、当該食品に含まれていた不純物の特定などによる健康被害の発生機序の解明などを行って、2種類の不純物の特定までの研究成果がありますが、これらの不純物と健康被害との関連性については、さらに調査研究を行うことが必要であるとしています。
1 米国において、食品としては認可されていない遺伝子組換えトウモロコシ『スターリンク』(飼料としては認可済)が食品中に混入していることが確認され、食品会社のリコールにより、回収処分となりました。(米国2000年(平成12年)9月)これを受けて、『スターリンク』の栽培認可は、開発会社から自主的に取り下げられる事態へと発展しました。
2 問題となった『スターリンク』は、アベンティス社(現バイエル・クロップサイエンス社)が開発した、Bt毒素遺伝子(Cry9c)を含む害虫抵抗性トウモロコシ(Btコーン)です。Bt毒素は昆虫のチョウ目やハエ目に対する生物農薬として、30年以上使用されてきたBt菌の活性部分であり、ほ乳類には安全とされてきました。また、Bt毒素には種々あり、Cry1AbやCryAcなどのBt毒素遺伝子を組み込んだトウモロコシやダイズについては、食品として認可されています。
3 アベンティス社では、米国での認可を得るために安全性評価試験を実施しましたが、Cry9c遺伝子が産生するタンパク質が、pH2.0でのペプシン消化(胃での消化模擬試験)に対し4時間後も安定であり、90℃でも10分間安定という、熱による調理や胃での消化を経た後でも安定である可能性が示されました。Cry9cタンパク質は既知のアレルギー性物質との構造的な類似性は認められず、アレルギーを誘発するという結果は得られていませんが、この実験結果からアレルギーを引き起こす可能性が残されるということで、米国では食品としての認可が得られませんでした。一方、動物試験では毒性上の問題は認められず、飼料としては認可されました。当時、日本では、飼料・食品のどちらにおいても、『スターリンク』の使用は認可されていませんでした(現在も未承認)が、同年10月に、市民団体から日本の食品からも検出されたとの指摘がなされました。
1 この事件は、2002年(平成14年)11月、米国のプロディジーン社が開発した医薬品産生用の組換えトウモロコシが食用のダイズに混入した事件で、同社は厳しく処罰されました。また、ダイズは当局に差し押さえられ、市場には流通しませんでした。
2 このトウモロコシを栽培した実験農場では、翌年はダイズを栽培していましたが、巡回中の米国当局が、畑の土に残っていた前作のトウモロコシの種子が芽を出してのを見つけ、これを取り除くよう指導しました。しかし、トウモロコシがすべて取り除かれる前に、ダイズが収穫されてしまったため、当局はこれらが市場に流通しないよう貯蔵施設を差し押さえました。このことにより、同社は、植物保護法違反として最高額の罰金25万ドルの支払いと組換えトウモロコシが混入していた13,600トンのダイズの保管と焼却、施設の清掃費用および100万ドルの補償金を負わされました。
3 このように、法律に違反した場合は、厳しい罰則が科せられますが、日本においても、違反があれば、「カルタヘナ法」などの下、回収措置命令や懲役・罰金などの罰則が科せられます。
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E-13 『遺伝子組換えダイズを投与したラットの子供の死亡率が高く成長阻害が見られた』という研究結果が報道されていましたが、その事実関係について教えてください。 |
1 ロシア科学アカデミー高次機能・神経行動学研究所所属のイリーナ・エルマコヴァ(Irina Ermakova)博士は、2005年(平成17年)10月にロシア遺伝子組換えシンポジウムにおいて、「除草剤耐性遺伝子組換えダイズを食べたラットから生まれた子供の死亡率が高く、成長も遅かった」と発表し、英国インディペンデント紙がそれを取り上げたことから話題となり、日本でも新聞やテレビなどで報道されました。
2 英国食品基準庁『新規食品と製造工程に関する諮問委員会』は、この実験について2005年(平成17年)12月に声明を出し、「結果を説明できる理由は遺伝子組換えダイズか否か以外にも多数想定され、多くの重要な情報がない以上、この実験から結論を引き出すことはできない」としています。また声明では実験方法について次のような問題点を指摘しています。
(a)ネズミ目に生ダイズを大量に食べさせると有害な影響が出ることが一般的に知られていて、遺伝子組換えダイズであるか否かとは関係なく、この実験においては与えられた生ダイズがラットへ有害事象を生じさせ得る
(b)各グループの餌の間で構成された栄養素、栄養量などが等価であったかの情報がない
(c)各ラットにおけるダイズの消費量や従来型の餌の消費量のデータがない
(d)死亡したラットの死因に関するデータがない
(e)マイコトキシン(カビ類が産生する毒素の総称)など、混入物の存在を否定する情報がない
一方、サウスダコタ州立大学のBrakeらのグループは、マウスに対し4世代にわたり遺伝子組換えダイズの影響について経過を追った実験を行い、遺伝子組換えダイズはマウスに対して死亡率や成長に影響を与えないことを報告しています。
3 なお、我が国では、全ての遺伝子組換え食品について、内閣府食品安全委員会において安全性評価が行われており、この結果、安全性が確認されたもののみが輸入・流通・販売されているので、遺伝子組換えダイズを食べても問題はありません。
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E-14 安全性未審査の遺伝子組換えジャガイモが混入したスナック菓子が発見されたことがあったと聞きましたがその事実関係を教えて下さい。 |
1 平成13年5月から6月にかけて、国内でその様なスナック菓子が見つかり、食品衛生法違反となることから、厚生労働省および製造者を所管する自治体が当該品の回収を指示しました。
2 その際、当該スナック菓子の原料として用いられたジャガイモ加工品と同一製造者のものについては、関係自治体において検体が収去され、国立医薬品食品衛生研究所において検査が行われましたが、その結果、検査対象となった46検体のジャガイモ原料からは安全性未審査のものは検出されませんでした。
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E-15 除草剤グリホサートが有機リン系農薬であるという話を聞きました。有機リン系農薬は人体に悪いと聞きますが、大丈夫でしょうか。? |
1 グリホサートは商品名をラウンドアップといい、植物の茎葉から吸収され、葉緑体におけるある種のアミノ酸合成を阻害して植物全体を枯らせる非選択型の除草剤です。グリホサートはその化学構造と作用機構からアミノ酸系または有機リン系の除草剤に分類されています。海外では、ラウンドアップ耐性を持たせた遺伝子組換えのトウモロコシやダイズと組み合せて広く使用されています。
2 有機リン系農薬の登録の際には、急性毒性試験や発がん性試験、繁殖毒性試験などの慢性毒性試験などの試験データに加え、神経毒性、遅発性神経毒性など、最新の科学的知見に基づいた試験データの提出を求めており、これらの試験データをもとに内閣府食品安全委員会によりリスク評価が行われています。また、農薬の登録の際には、適用作物、使用時期、総使用回数などの使用基準が定められており、農薬の使用の際には、この使用基準を遵守することが義務付けられており、この使用基準に沿って適正に農薬を使用すれば、安全性に問題はありません。
3 なお、農薬に関する情報については農林水産省の農薬コーナー(農薬関係ホームページ)をご覧ください。
(参考)農林水産省・農薬関係ホームページ
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E-16 フランスの研究グループが、害虫抵抗性トウモロコシの承認時のデータを再解析した結果、肝臓などに悪影響が認められたと発表したと聞きましたが、事実関係を教えてください。 |
1 2007年(平成19年)3月、フランスの民間研究グループ(略称:クリージェン、CRIIGEN)が、米国の害虫抵抗性トウモロコシMON863承認時のデータを再解析した結果、肝臓などに有意な悪影響が認められたと環境団体が発表しました。
2 しかし、2007年(平成19年)4月に、ドイツ安全性評価機関が『統計的有意差から毒性があるとは結論付けられず、健康リスクはない』と声明を出し、同年6月、欧州食品安全機関(略称:エフサ、EFSA)も『MON863の安全性に関して疑義を呈する科学的妥当性を提起しているとは考えない』と声明を出しました。日本でも食品安全委員会も、同年8月に同様の見解を示しています。
1 飼料として利用する遺伝子組換え農作物(遺伝子組換え飼料)については、「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律」に基づき、有害畜産物の生産防止、家畜の被害防止の観点から安全性確認を行うことが義務づけられています。遺伝子組換え飼料の安全性確認の手続きは、以下のとおりです。
(a)確認を受けようとする者が、農林水産大臣に申請書及び安全性の確認に必要な資料を提出。
(b)農林水産大臣は、申請に係る遺伝子組換え飼料の使用に伴い有害畜産物が生産され、又は家畜等に被害が生ずることにより畜産物の生産が阻害されるおそれがないと認める場合には、安全性を確認。確認を行う場合には、農業資材審議会の意見を聴取するとともに、「食品安全基本法」に基づき、申請に係る飼料を家畜が摂取することに係る畜産物の人の健康への健康影響評価について食品安全委員会の意見を聴取。
(c)農林水産大臣は、確認を行ったときは、その旨を公表。
という流れになっています。
2 遺伝子組換え飼料の家畜等に対する安全性の確認の審査は、「組換えDNA技術応用飼料及び飼料添加物の安全性審査基準」に基づいて行われています。基本的には、遺伝子組換え食品の安全性評価の場合と同様に、遺伝子組換え飼料が既存のもの(宿主植物)と同等と見なしうると判断できるかどうかが安全性審査の出発点となり、同等と見なしうると判断できれば、既存のものとの比較において安全性審査を行うことができるという考え方です。
3 遺伝子組換え飼料の家畜等に対する安全性の確認の審査は、具体的には、
(a)遺伝的素材(宿主、遺伝子供与体、挿入遺伝子)、家畜等の安全な飼養経験(宿主植物による広範囲な家畜等の飼養経験の有無)、飼料の構成成分等(宿主植物及び組換え飼料の構成成分の種類及びその量、毒性物質・抗栄養素の種類及びその量)、既存のものと組換え飼料との使用方法の相違を総合的に判断し、組換え飼料が既存のものと同等と見なしうるか(比較対象として用いることができるか)どうか判断します。
(b)既存のものとの比較において、挿入遺伝子の安全性、挿入遺伝子により産生されるタンパク質の有害性の有無、遺伝子産物の毒性の有無、遺伝子産物の物理化学的処理に対する感受性、遺伝子産物の代謝経路への影響の有無、栄養素や有害生理活性物質等に関する宿主との差異などについて審査されます。
(c)これらの審査は、申請者が申請の時点で提出した審査に必要な実験データ等に基づき行われますが、審査はその情報の信頼性も含め、科学的に妥当なものであるか否かについても審査されます。また、必要な場合には追加の情報を申請者に提出させることとなっています。
(参考)「飼料の安全関係」ホームページ
4 なお、遺伝子組換え飼料を家畜が摂取することに係る畜産物の人の健康への評価については、食品安全委員会が行うこととなっており、食品安全委員会では、「遺伝子組換え飼料及び飼料添加物の安全性評価の考え方」を決定しています。
1 遺伝子組換え農作物を飼料として利用しようとする場合は、農林水産省による安全性確認と、確認に当たって内閣府食品安全委員会からの意見聴取が義務付けられています。ここで食品における安全性審査とほぼ同様の項目について調べられ、安全性が確認されています。飼料農作物に組み込まれたDNAや、それによって新たに作られたタンパク質は、他の飼料中の成分と同様に消化されてしまいます。よって、遺伝子組換え技術によって新たに作られたタンパク質が家畜の肉などに蓄積したり、乳や卵に移行することはありません。
2 実際に、さまざまな動物を使った給餌試験が各国で行われており、欧州食品安全機関(略称:エフサ、EFSA)は2007年(平成19年)4月、遺伝子組換え飼料を食べた家畜の安全性に関する声明で『多数の家畜における試験結果があるが、GM作物由来の組換えられたDNAやタンパクが、それを食べた家畜の肉や乳、卵などから検出されたことはない。』と結論付けています。このように、従来の農作物と同じように食べても安全であることが確認されています。
1 遺伝子組換え農作物を原料として使った食品は実にさまざまです。どのような食品に使われているのか、表示を義務付けてほしいという声が、輸入が始まった平成8年以降、たくさんの消費者から寄せられるようになりました。
2 これを受けて農林水産省は、消費者の選択の目安となるよう、平成13年4月から「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(JAS法)に基づく遺伝子組換え食品表示制度を実施しており、指定された遺伝子組換え農作物と、その加工食品について遺伝子組換えに関する表示を義務付けています。
3 平成20年3月現在、表示の対象となるのは、7種類の農作物(ダイズ、トウモロコシ、バレイショ、ナタネ、ワタ、アルファルファ、テンサイ)と32食品群の加工食品です。
表示の方法は、
(a)遺伝子組換え農産物を使っている場合は『遺伝子組換え』
(b)遺伝子組換えと非組換え農産物を分けずに使っている場合は『遺伝子組換え不分別』
と表示することが義務付けられています。
4 原材料にダイズが使われている加工食品を例にとると、原材料名の欄に上記(a)の場合は『ダイズ(遺伝子組換え)』、上記(b)の場合は『ダイズ(遺伝子組換え不分別)』と表示されることになります。また、非遺伝子組換え農産物を使っている場合は、表示義務はありませんが、任意で『ダイズ(遺伝子組換えでない)』などと表示することができます。
5 なお、厚生労働省でも遺伝子組換え食品の表示の義務化について平成13年4月から食品衛生法に盛り込まれています。表示方法は、基本的にJAS法と同一です。
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1 農林水産省は、消費者の選択の目安となるよう、平成13年4月から「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(JAS法)に基づく遺伝子組換え食品表示制度を実施しており、指定された遺伝子組換え農作物と、その加工食品について遺伝子組換えに関する表示を義務付けています。
2 平成20年3月現在、表示義務の対象とされているのは、ダイズ、トウモロコシ、バレイショ、ナタネ、ワタ、アルファルファ、テンサイの7種類の農作物と、豆腐や納豆のように、それらを原材料とした32食品群の加工食品です。
3 このように、遺伝子が組換えられたDNAとこれによって生じたタンパク質が残っている可能性のある加工食品の場合は表示が義務付けられております。
4 一方、同じダイズやナタネなどの加工食品でも醤油や油は表示が義務付けられておりません。これは、醤油や油は、遺伝子組換え農作物を使用していても加工の工程で酵素分解、加熱、精製などにより、遺伝子が組換えられたDNAとこれによって生じたタンパク質が分解、除去されるからです。
5 なお、食品中に、遺伝子が組換えられたDNAまたはこれによって生じたタンパク質が残っている場合は、検査で検出できます。残っている場合は、科学的な分析検査を行って遺伝子組換え原材料が使用されているかどうか確認することができるので、表示内容が正しいか確認できます。
1 『不分別』というのは、『非遺伝子組換えのものと遺伝子組換えのものを、流通過程で分けていない』という意味です。
2 トウモロコシやダイズは、より低コストで大量輸送するための流通システムが整備されています。現在流通している遺伝子組換え農作物は、構成成分や栄養価が従来の農作物と実質的には同じです。そのため、生産国の米国などでは多くの場合は、両者を特に区別せず、一緒に運ばれています。
3 特に非遺伝子組換えであることを証明するためには、農場から製造工場に原料が到着するまでのすべての流通過程で、厳密な管理を行い、分別して運ぶ必要があります。このようなシステムをIPハンドリング(分別生産流通管理)といいます。分別管理したことを証明する書類をもとに、加工業者は『遺伝子組換えでない』という任意表示をすることができます。
4 このようなIPハンドリングを行わず、混ざったまま流通している場合を『不分別』といい、その場合には、『不分別』とする表示が義務付けられています。
1 遺伝子組換え食品の表示制度では、原材料として遺伝子組換え農作物を使用していない場合は『遺伝子組換え不使用』という旨の表示をしてもよいことになっています。
2 この場合、本当に原材料に組換えのものが混ざっていないかどうか、つまり非組換えのものが、きちんと分けられて流通されてきたかどうかを証明する根拠となるのがIPハンドリング(分別生産流通管理:Identity Preserved Handling)です。
3 IPハンドリングを行っていることの証明書は、農作物が生産者から流通業者、輸出入業者、加工業者へと渡る各ポイントで発行されます。最終的にすべての書類がそろっていて初めて適切なIPハンドリングが実施されたことになり、その証明書をもとに加工業者は『遺伝子組換えでない』という任意表示をすることができます。
4 しかし、栽培農家や流通にかかわる人は、厳密な管理の下で細心の注意を払ってIPハンドリングを行っていますが、現実には遺伝子組換えのものがわずかに混ざってしまうこともあります。
5 例えば、多くの場合、非組換えのものを流通させるときに使用するコンベアーなどは、不分別のものと同じ設備を利用しています。非遺伝子組換えのものだけを流通させるときは、コンベアーや倉庫内を掃除してから流しますが、いくら清掃してもラインに数粒、遺伝子組換えのものが残っていたりすることがあり、現状では絶対に混ざらないようにすることは困難です。
6 このため、日本では、遺伝子組換え農作物の混入率が5%以下で、それが意図しないもの(故意に行われたものではないこと)であれば、適正なIPハンドリングが行われたとして『遺伝子組換えでない』の表示を認めています。
1 店頭で売られている遺伝子組換えの表示義務対象品目の製品は、今のところ『遺伝子組換え農作物は使っていません』と表示されているものがほとんどです。本当に、遺伝子組換え原材料が使われていないのかどうかの確認は、農林水産省や地方自治体などにおいて、定期的にモニタリング検査を行っています。
2 例えば、独立行政法人農林水産消費安全技術センターでは、全国8か所で市場に流通している製品を監視しており、2005年(平成17年)度には、組換えの表示義務対象品目となっている加工食品378商品について、DNA分析などを行って表示内容の確認調査を行いました。その結果、遺伝子組換え原料の混入の可能性があったものは237商品(調査対象の62.7%)でしたが、これらの商品の全てについてIPハンドリング(分別生産流通管理)が正しく行われていたことが現地調査で確認されました。従って、遺伝子組換え表示に関する不適正が確認されたものはありませんでした。
3 その後も、店頭調査や科学的確認検査などが、地方自治体や消費者団体などで行われていますが、表示違反となって罰則を受けた例はありません。
4 なお、表示義務に違反した業者などに対しては、農林水産大臣が表示を行うべき旨の指示および命令を行った時点で、表示義務違反をしたことが公表されます。農林水産大臣が表示を行うべき旨の指示および命令に従わなかった場合には再度命令が出され、これにも従わなかった場合には、個人に対しては100万円以下の罰金または1年以下の懲役、法人に対しては1億円以下の罰金が科せられます。
1 表示のルールは国によってさまざまで、表示の実態も異なります。米国では遺伝子組換えについての表示の義務付けは一切ありません。一方、EUでは、遺伝子組換え技術に対しては慎重な立場をとっており、1997年(平成9年)に新規食品規則を施行して、その規制の中で遺伝子組換え食品の表示を行うことを決めています。
2 EUにおける遺伝子組換え食品の表示については、2003年(平成15年)7月に成立した食品・飼料規則(EU Regulation No.1829/2003)および表示・トレーサビリティ規則(EU Regulation No. 1830/2003)に基づき規定されています。これらによると、最終製品に組換え遺伝子が含まれるか否かに関わらず、遺伝子組換え農作物から製造された食品・飼料に対して表示義務が課されています。しかし、認可されている遺伝子組換え農作物に限っては、非意図的な混入が0.9%以下の場合、表示が免除されます。
3 このように、国によって表示のルールが異なるため、国際的にも検討が行われており、国際連合食糧農業機関(FAO)および世界保健機関(WHO)が合同で設けているコーデックス食品規格委員会(CODEX委員会)において、遺伝子組換え食品の表示指針(ガイドライン)の作成が進められています。
1 1998年(平成10年)から2004年(平成16年)までの間、EUは新たな遺伝子組換え農作物の承認を凍結しました。これをいわゆる『モラトリアム』の実施と呼んでいます。
2 『モラトリアム』の実施は、遺伝子組換え農作物の新しい承認手続きや表示、トレーサビリティーに関する新たな規制が制定されるまで、新規の遺伝子組換え生物の承認を当面凍結するとの閣僚宣言によるものです。
3 その後、遺伝子組換え農作物の環境放出指令(2001/18/EC)及び食品・飼料としての安全性審査規制、表示規制、トレーサビリティ規制(EU Regulation No.1829.2003及びEU Regulation No.1830/2003として成立)が施行された結果、2004年(平成16年)には、害虫抵抗性トウモロコシBt11及び除草剤耐性トウモロコシNK603の食品利用が承認され、『モラトリアム』は解除されました。
1 「共存法」とは、EUの農業分野において、遺伝子組換え作物、在来の作物、有機農業の3者が互いに共存でき、生産者が各々の栽培手法を選択できるためのルールを指しています。一般に「共存(Co-existence)」と呼ばれているようです。
2 遺伝子組換え農作物・食品に懸念を持つ人が多いEU域内においても、栽培や販売を認可された遺伝子組換え作物の種類が徐々に増えています。これにより、遺伝子組換え作物を導入する農家が増加することが予測され、遺伝子組換え作物と他の作物を共存しながらどのように栽培するかという問題が生じました。
3 そこで、EUでは共存方策の検討が行われ、2003年(平成15年)7月に「遺伝子組換え作物と慣行・有機農業との共存に関するガイドライン」*1が策定されました。このガイドラインは、欧州では、遺伝子組換え農作物、非遺伝子組換え農作物、有機農業のいずれの農業も排除されてはならないこと、遺伝子組換え農作物と非遺伝子組換え農作物との混入によって発生する経済的損失の発生を最小限にすることなどを目的としています。
4 共存のための手法は各加盟国が策定・実施するべきものとされており、これを受け、ドイツ、デンマークなどで共存のための法律などが整備されました。それらの主な内容は、加盟国によって異なりますが、以下のようなものです。・交雑・混入防止措置の確保(栽培の許可制、ほ場の登録制、一定の隔離距離の確保、GAP(Good Agricultural Practice)の遵守、分別管理の徹底など)
・交雑・混入により損害が発生した場合の補償(補償基金の設立、遺伝子組換え作物栽培農家の責任など)
5 その後、欧州委員会は2006年(平成18年)3月9日に共存方策に関する各国の実施状況に関する報告書※2を公表しました。本報告書では、現在共存方策を策定している加盟国が4カ国にすぎず、EUにおける遺伝子組換え農作物栽培の経験不足から、共存に関するEU規則の制定は時期尚早と考える、と結論されています。
6 なお、ドイツ、デンマーク、ハンガリー、ポルトガル、スロバキア、チェコ、オーストリア(州政府)、ルーマニアなど加盟国が共存方策を策定している状況です。(2007年(平成19年)5月現在)
※1 Commission Recommendation of 23 July 2003 on guidelines for the development of national strategies and best practices to ensure the coexistence of geneticall -y modified crops with conventional and organic farming(2003/556/EC)
※2 Report on the implementation of national measures on the coexistence of genet -ically modified crops with conventional and organic farming (COM(2006) 104 final)
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H-3 モンサント社とカナダのナタネ生産者との間で争われていた遺伝子組換えナタネに関する訴訟について裁判所の判決が下されたそうですが、事実関係を教えてください。 |
1 この訴訟は、モンサント社がカナダのナタネ生産者Percy Schmeiser氏に対し、同社が特許権を有している遺伝子を導入した除草剤ラウンドアップ耐性ナタネを無許可で栽培した(1998年(平成10年):約400ha)ことなどにより特許権を侵害したとして、損害賠償(約140万円)および当該ナタネの栽培による利益(約950万円)の支払いなどを求めて提訴したものです。
2 Schmeiser氏は、意図的に除草剤ラウンドアップ耐性ナタネを栽培したものではないと主張しましたが、2001年(平成13年)、カナダ連邦裁判所は、除草剤ラウンドアップに耐性を持つと知りながらナタネの栽培・販売を行っていたSchmeiser氏の行為は特許権侵害に当たるとし、当該ナタネの栽培による利益として、約180万円をモンサント社に支払うようSchmeiser氏に命じました。Schmeiser氏は、侵害行為の認定などについて控訴しましたが、2002年(平成14年)に棄却されました。
3 さらに、Schmeiser氏はカナダ最高裁判所に上告しました。2004年(平成16年)、カナダ最高裁判所は、特許権侵害を認めた下級審の判決は妥当であると判断しました。ただし、Schmeiser氏は1998年(平成10年)の栽培でラウンドアップを散布しなかったので、当該ナタネの栽培による利益をモンサント社に支払う必要はないことになりました。
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H-4 メキシコにおいて在来トウモロコシから遺伝子組換えトウモロコシの遺伝子が発見されたということですが、事実関係を教えてください。 |
1 2001年(平成13年)に、トウモロコシの原産地とされるメキシコ南部のオアハカ州で、トウモロコシの在来種から遺伝子組換えトウモロコシの導入遺伝子が発見されたとの研究論文が発表されました。しかし、この論文の実験手法、実験結果の解釈や考察について様々な議論がなされ、本論文を掲載した科学誌(Nature)が、『この研究結果には発表に値する十分な証拠がなかった』との短評を2002年(平成14年)に発表しました。
2 その後、2005年(平成17年)8月に、2003~2004年(平成15~16年)にかけてオアハカ州の125の畑で採取された153,000粒のトウモロコシを調査したところ、導入遺伝子は発見されなかったとの報告がなされています。
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