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魚と貝のバイオテクノロジー-安全で信頼できる魚と貝を目指して-

はじめに

(1)安全で信頼できる魚と貝とは?

我が国は、四方を海に囲まれ古くから色々な魚や貝を重要なタンパク質源として利用してきました。現在でも、動物性タンパク質の約40%を水産物から摂取し、我が国の国民一人当たりの水産物消費量は世界のトップクラスの水準です。我が国で流通・消費されている魚や貝は、1,000種類を越えていると言われており、なじみの深いものだけでも数百種類に達します。これらの魚貝類は、我が国周辺水域だけではなく世界各地で漁獲されたものも多く、また、天然での漁獲だけではなく養殖された魚や貝も多く出回っています。また、魚や貝には、(i)対象種の数が野菜や肉類に比べて多いこと、(ii)鮮度が重要視され、生鮮や冷凍など、状態に違いがあること、(iii)天然物と養殖物があるが、天然物が好まれること、(iv)消費者が国産物を志向する傾向があることなどから、見た目にはわずかな違いであっても、その商品価値が大きく異なるという特徴があります。

鮮魚売り場の写真

こうしたなかで、魚や貝を消費するにあたって気になることとして、(i)種類は何か?(種類の表示は正しいか?)、(ii)新鮮か?(一度冷凍したものか?)、(iii)産地はどこか?(産地の表示は正しいか?)、(iv)安全か?(有害な物質は含まれていないか?)などがあります。

生産段階や流通・加工段階から、これらの情報が適切に提供され、その表示内容が保証されていることが期待されています。また、国や都道府県などの行政機関により、問題のある魚や貝が流通しないよう、科学的検査に基づいて適正に規制されていることが期待されています。

(2)バイオテクノロジーを活用した安全と信頼の確保

私たちが期待する魚や貝の種類や産地の判別、生産や流通の過程での安全性の確保、これらに基づく適正な表示を行う上で、生物の持つ免疫反応・遺伝情報(DNAの固有性、遺伝による優良形質の固定)を活用するバイオテクノロジーは有効な手段です。

1)消費段階:水産物の種の判別には、細胞内小器官のミトコンドリアや細胞核に含まれるDNAの分析手法が利用できます。さらに、対象となる種の産地が限られていれば、種の判別=産地の判別となります。また、外国を含めて広い分布域を持つ種の場合でも、ミトコンドリアDNA塩基配列の個体毎の変異から、産地を特定できる場合があります。

2)流通段階:病原体や毒物が貝の体内へ侵入することに対する生物の防衛機能である免疫反応を応用して、貝毒の有無や濃度を迅速に診断し、食中毒の恐れのある貝類の出荷を適確に規制することができます。

3)生産段階:遺伝子の目印(DNAマーカー)を利用した育種によって、耐病性や高成長といった優れた形質をもつ品種を作ることにより、効率的な養殖が可能となり、低コストで丈夫な魚貝類を供給できます。また、魚貝類の病気の発生は、養殖生産の大きな阻害要因となっていますが、病原体の検出やワクチンの開発など、魚貝類の病気対策にも抗原抗体反応が使われています。

魚と貝の安全確保のために利用されているバイオテクノロジー

 

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