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イノシシ、シカ、サルの3種による農林業被害を軽減する技術については、近年の研究の進展により、経験に基づいた対策から科学的裏付けを持ったものに改善されてきました。この成果を発展させ、今後、更に、これらの野生動物による農林業被害対策をより効果的に実施するために、農林水産技術会議では、以下の研究に取り組んでいます。
ワナ設置の捕獲効率などの評価方法を確立して、効率的な捕獲技術の開発が引き続き重要です。また、集落や地域全体をイノシシにとって魅力のない、かつ、侵入しにくい場所にしていくことが重要です。被害の多い中山間地域では、耕作放棄地と農地がモザイク状に並んでおり、イノシシ被害を増大させています。農地を集め、農地や水路の配置を考え、労力の少ない場所は家畜を活用して耕作放棄地の管理を行うなど、今後は集落のデザインや土地利用方法の工夫も視野に入れた集落再編や土地利用計画技術の開発が必要と考えられます。
そこで農林水産技術会議では高度化事業研究課題「イノシシの生態解明と農作物被害防止技術の開発」において、被害を受けにくい集落形態などの解明に取り組んでいます。
新植造林地におけるシカの林業被害の発生について、標高との関係が明らかになっており(図23)、GPSテレメトリによるシカの行動範囲データに、標高のほか植生などのGISデータを組み入れて、被害発生の危険度の高い場所を特定する手法を開発することが必要です。また、シカの群れとしての望ましい管理目標値を設定できるよう、シカの生息状況の変化と植生との関係を予測する方法を開発する必要があります。

そこで、高度化事業研究課題「外来野生動物等による新たな農林被害防止技術の開発」において、ニホンジカによる人工林剥皮害の発生予測技術や被害軽減手法の開発に取り組んでいます。
地域においてニホンザルの群れを適正に維持するには、被害を引き起こす群れに対して集中的に対策を講じていくことが重要です。これについては、群れの加害特性などの生態や生息地環境についての解明がまだ不十分です。また、サルの群れを集落・農耕地から本来の生息地である森林へ移動させ、そこで定着させる「追い上げ」の効果的手法を開発するとともに、森林の餌資源量の確保など、野生動物の生息地にも配慮した森林管理技術の開発が求められています。
そこで、高度化事業研究課題「獣害回避のための難馴化忌避技術と生息適地への誘導手法の開発」において、「追い上げ」の効果的手法の開発に向け、銃火器や花火(図24)のほか、犬などを用いた効果的な威嚇法の開発などを行っています。

最近農業に被害を与えている鳥類の一つに「ヒヨドリ」(図25左)があります。野生及び植栽された木の実の年による豊凶の違いから農作物の被害の予測はある程度可能となっているものの、豊作・凶作とヒヨドリの移動距離との関係はまだ解明できていません。また、カワウ(図25右)による水産物への被害も深刻な場所が生じており、その生態の解明や抜本的な対策技術はまだできていません。

さらに、近年、マングース、アライグマ、ブラックバス、タイワンリス(図26)など、国外又は国内の他地域から野生生物が本来有する移動能力を超えて、人為によって意図的・非意図的に移入された種、すなわち外来生物が増加しており、地域固有の生物相や生態系に対する大きな脅威となっています。特にハクビシン、ヌートリア、アライグマ等の動物(図27)による農林水産業被害は地域が限定されているとは言え、今後大きな問題になる可能性があります。そのため、これら3獣種による農作物被害の早期防止技術の開発に向けた生態行動の解明などを目指し、高度化事業研究課題「外来野生動物等による新たな農林被害防止技術の開発」を平成18年度から開始しています。

